1970年代に人気を二分した女性アイドルグループの「キャンディーズ」と「ピンク・レディー」。そのメンバーだった伊藤蘭と未唯mieが近年、互いの公演に足を運び、会場に花を贈るといった交流が続いている。ともに現役のソロ歌手として新年の公演ツアーを控える中、未唯mie がよろず~ニュースの取材に対し、当時の思い出や近況を語った。(文中敬称略)
デビューはキャンディーズ(ラン=伊藤蘭、ミキ=藤村美樹、スー=田中好子)が73年、ピンク・レディー(ミイ=未唯mie、ケイ=増田惠子)が76年。未唯mieにとって伊藤は芸能界のキャリアも、年齢も3年上の〝先輩〟となる。
「当時からキャンディーズさんのことを〝キャンさん〟と呼ばせていただき、蘭さんは私たちのことを〝ピンクちゃん〟と呼ばれていました。歌番組の楽屋で、キャンさんが3人で頭をつき合わせながら譜面でハーモニーを確認していらっしゃる姿をよくお見かけして、同じコーラスグループとはいえ、ハーモニーは2人の私たちに比べ、3人だとより大変ですから、『いつも、お勉強をされているなぁ』という印象がありました。キャンさんもメンバーのキャラクターが前面に出ているように思われていますけど、(歌唱面でも)ピッチ(※音の高さ)がすごく良くて、いつも『歌うまいなぁ』と思っていましたね。なおかつコントもお上手で、アイドルの先輩として尊敬しきりでした」
実は、そのコントで共演する可能性もあったという。
「デビューしてすぐの頃にTBS系の『8時だョ!全員集合』のレギュラーになる話があったんですが、ピンク・レディーは〝日テレ生まれ〟(※同局のオーディション番組「スター誕生!」出身)なので、まずは日本テレビのレギュラーからスタートしなさいという、〝大人の事情〟で実現しませんでした。もし、それがかなっていたら、『全員集合』で〝キャンさんとピンクちゃん〟が(舞台の)両袖に並んでいたかもしれません。歌番組では(フジテレビ系)『夜のヒットスタジオ』でキャンディーズVSピンク・レディーとして、それぞれの歌を入れ替わり立ち替わりで歌う企画がありましたね」
キャンディーズが東京・後楽園球場で伝説となった解散コンサートを開催した78年4月4日、ピンク・レディーは公演先の楽屋にあるテレビで見届けた。
「私たちは地方でコンサートをしていて、1回目と2回目の舞台の合間に楽屋に戻ると、テレビで解散コンサートが放送されていて、涙を流しながら見ていました。もう、悲しくて…。出番になってもテレレピの前から離れがたく、後ろ髪を引かれながらステージに立った思い出がありますね」
時は流れ、伊藤がソロ歌手デビューした2019年前後から交流が深まった。昨年には念願の会食もかなった。
「お花だけでなく、私のライブハウス公演にも来てくださって、ファンの方たちも紳士的に対応してくださってありがたかったです。蘭さんが三谷幸喜さん作・演出の舞台『子供の事情』(17年)に出られた時に楽屋に挨拶に行って『タイミングが合う時にご飯食べましょうね』というお話をして、ソロ歌手としての初コンサートでも『ぜひ、ご飯行きましょう』と話していたら、コロナになって約束がかなわなかったんですけど、去年、蘭さんと水谷豊さんと私の3人で食事をさせていただきました」
年が明けると、未唯mieは1月4日にビルボードライブ横浜、11日にビルボードライブ大阪、18、19日に東京・目黒のブルースアレイジャパンで恒例の新春公演を開催。伊藤は12日にロームシアター京都メインホール、13日には神戸国際会館こくさいホールで「バースデーライブ!」を行い、25日の東京ガーデンシアター公演でツアーを締めくくる。
「蘭さんは『ライブが終わった後でも、何事もなく元気でおられます』と共通のスタッフから聞いて、すごいなあと。私は終わるとヘトヘトになっちゃうので、もっと頑張らなきゃと思います。蘭さんはいつも若々しくて、きれいで、かわいくて、元気な3歳上のお姉さん。大好きな先輩が先を走ってくださっているので、すごく励みになります」。半世紀近くを経た今も〝キャンさん〟の背中を追い続ける。