衆院選が27日、投開票された。政治資金収支報告書の未記載、いわゆる“裏金問題”で自民党の公認を得られず、兵庫9区(明石市、洲本市、南あわじ市、淡路市)に無所属で立候補した、自民党旧安倍派幹部で前衆院議員の西村康稔元経産相(62)は当選を確実なものとした。
開票速報が始まった午後8時から各テレビ局や各紙が「当選確実」と報じたが、事務局はNHKが「当選確実」と報じるのを待った。NHK開票速報が西村氏の「当選確実」を報じたのが午後10時24分ごろ。その瞬間、選挙事務所は支援者を中心に割れんばかりの拍手に包まれた。
西村氏は事務所からあふれ出るほどかけつけた支援者にあいさつ。その声は枯れ気味で「声が出ませんけども、お許しいただければ」としつつ、今回の衆院選を「最初から厳しい選挙で、逆風の中『どうやっていこうか』そんな思いでありました」と回想した。
そんな選挙の中で「もう一度、原点に戻って、初心に戻って政治をやる。そう決意したころの自分を思い出しました。ゼロからの再出発、皆さんにお誓いしたとおりきちんと正しく歩んでいきたい」と強調した。
約5分間におよぶあいさつで「もう声がでなくなるかも」と自虐し笑いを誘いつつ「皆さんと一緒に声を枯らして訴えた、私の訴えが届くようにとやってきた結果であります」と結び、会場は大きな拍手で包まれた。
西村氏は、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる、いわゆる裏金問題で、自民党から党員資格停止1年の処分を受けた。無所属での出馬ながら、自民党の地域支部(明石・淡路)と公明党の推薦を受け“与党候補”として野党との対決姿勢を強調した。
兵庫9区には西村氏のほか、立憲民主党・橋本慧悟前兵庫県議(35)、日本維新の会・加古貴一郎氏(61)、共産党・高田良信氏(78)が立候補した。
立民の野田佳彦代表(67)は公示日の15日、八王子→明石→敦賀を周り“裏金議員”の選挙区を狙い撃ち。元首相の応援を受けた橋本氏は、前明石市長の泉房穂氏を「政治の師」と仰ぎ“泉房穂の一番弟子”をアピールしたが、牙城を崩すことはできなかった。