スターダムの東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ大会が31日に行われ、夏の恒例シングル最強決定戦「5★STAR GP 2024」の決勝が行われた。同日の準決勝で岩谷麻優を破った舞華は、決勝で上谷沙弥から27分23秒、変形みちのくドライバーⅡからのエビ固めで3カウントを奪取。史上初の全勝で初優勝を達成した。9・14エディオンアリーナ大阪大会では、ワールド王者・中野たむに挑戦する。
優しい笑みを浮かべた王者の姿があった。王冠と真紅のマントを身につけた舞華は「上谷、今まで戦ってきた中で一番生き生きしてんじゃねえか。こんな形になってしまったけれど、決勝でやれてめちゃくちゃ嬉しかったよ」と激闘を繰り広げた相手を認めた。7・28札幌大会でのワールド王座戦では、盟友関係だった上谷の裏切りに遭い、刀羅ナツコに対しV7防衛に失敗。刀羅が率いるH.A.T.E.(ヘイト)へとヒールターンした上谷との因縁を、全勝優勝という史上初の快挙で洗い流した。昨年は決勝で鈴季すずに敗れ、悲嘆に取り乱した姿とは違った、成長した姿を誇示した。
持ち味のパワーでなぎ倒した。目つぶしやレフェリーを利用した悪態でペースを乱された舞華だったが、長い場外戦で一進一退の消耗戦へと展開。命知らずな空中技、多彩な蹴り技に苦しむも、ブレーンバスター3連発で巻き返した。最後はみちのくドライバーⅡ、リストクラッチ式のみちのくドライバーⅡで難敵を沈めた。
大きな拍手を浴びた舞華は「最短で赤いベルトを取り返す。そしてナツコにやり返す」と次の目標を宣言。この日のセミで刀羅からワールド王座を勝ち取った中野たむとリング上で向き合い、王者から「最高峰の試合をしたい」と呼応された。9・14エディオンアリーナ大阪大会でのタイトル戦が決まった。
準優勝の上谷はバックステージで「なかなかの出来でしょ」と強がった。転向直後ながらヒールとして躍動し、この日は会場でのTシャツが完売するほどの支持を得た。試合後のリング上と同様に「アイツが最後立って笑って勝ち名乗りあげてる姿が心底気に食わない。プロレス人生、一生懸けてでもアイツを地獄の底まで引きずり下ろしてやるよ」と誓い、「正義が勝つなんて気に食わないね。正義は人それぞれ違うから。私なりの悪の正義を振りかざしてやるよ」と信念を掲げた。
激闘を終えた舞華。バックステージではは柔和な表情で「初心に返って、誰よりも熱く、楽しく、すがすがしく戦えた結果だと思う。プレッシャーはありつつ、そのプレッシャーを楽しむ自分がいた。感情が落ちずに前向きにいられた」とうなずいた。全勝優勝の快挙には「やってのけたら、すごいことだと思いました。たとえリーグ戦でも崖っぷちだと思いながら隙を見せず、でも楽しくやれた。ヘイト以外にですけど」と感慨に浸った。
ワールド王座から陥落後、長髪をばっさりと切り、コスチュームを一新した。「髪が長いと邪魔だし、プロレスラーらしくリングシューズで、ロングタイツも私が思い描く〝ザ・プロレスラー〟の格好です。赤いベルトを取り返すため赤を基調に、気持ちがメラメラと燃えていることをイメージするデザイン。コスチュームを着る度に楽しもうと思わせてくれます」と力に変えた。
昨年秋に中野が負傷によりワールド王座を返上し、舞華は年末の王座決定戦を制して初戴冠。2週間後に控えるタイトル戦は、初めて王者からベルトを奪取する好機だ。中野は今大会リーグ戦全敗だったため、「全敗王者VS全勝挑戦者」というアンバランスな構図でもある。中野の今夏成績をバックステージで初めて知り「え~全敗だったの!」と驚いたが、気を取り直して「やっぱ私が巻くしかないでしょ。全部正していこうかな。皆が気持ち良く戦えるチャンピオンになりたい」と先を見据えた。〝女帝〟の呼称通り、舞華が混沌とするスターダムを平定する。