自動診断システムが進化もまだ人間の診断力が上!? 大腸の内視鏡などで“課題” 医師が語る

谷光 利昭 谷光 利昭
画像はイメージです(Paylessimages/stock.adobe.com)
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 医療機器の進歩に伴って内視鏡、CTなどについて、自動診断システムが発達してきています。例えば、CTなどをしたときに肺結節があれば、自動的に検出してくれます。あるメーカーの画像診断システムは3ミリの結節から指摘ができるそうです。

 3ミリの早期肺癌(がん)が確実に診断できれば、患者さんにとってかなりのメリットがありますが、現状では自動診断システムのみで、癌の診断をするまでには至っていません。

 内視鏡については、比較的精度の高い自動診断システムが開発されています。先日、デモンストレーションの動画を拝見しました。すべてを知りうるわけではありませんが、個人的な印象では、まだ人間の診断能力の方が優れているという印象を持ちました。

 特に、大腸検査においては気泡とポリープを間違えたり、カメラの操作速度によっては、ポリープがあっても診断ができないケースもあるようです。

 「ポリープ」の一般的なイメージでは、隆起していて、目で見ると簡単に分かるように思われがちですが、実際には様々な形のポリープがあります。胃、大腸のポリープも形によって明確に分類されていますが、胃と大腸は似たような形でも名称が違います。

 専門的になるので、イメージで例えます。紐(ひも)が付いている風船のような形のポリープ、海面から浮かんでいるブイのような形のポリープ、海面下のブイの形のようなポリープ、平たい形のポリープの4種類のポリープに分類されるのです。

 平たい形以外のポリープは、肉眼で見てすぐに分かるのですが、平たいポリープは、自然光で観察すると見逃がしてしまうことが多々あるんです。そこで、開発されたのが光の波長を短くして観察をする方法です。光の波長を短くすることによって、立体構造が強調されるために今まで見逃されていたポリープを見逃すことなく診断が可能になりました。

 そのことによって、大腸癌の前段階である1ミリ以下の腺腫も切除することが可能になり大腸癌の減少に貢献しています。現段階の自動診断システムでは、まだここまでの精度はありません。

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