7月15日といえば、1983年に任天堂から家庭用ゲーム機『ファミリーコンピュータ』(以下、ファミコン)が発売されたことにちなんで「ファミコンの日」といわれている。ファミコンは、今でこそ家庭用ゲーム機の元祖というイメージだが、ファミコンが登場した1980年代前半は、ほかにも家庭用ゲーム機が発売されていた。そんなファミコンと同時期に世に出されたゲーム機について振り返ってみよう。
ファミコンと同時期に発売されたゲーム機といえば、1981年に発売されたエポック社の『カセットビジョン』が忘れられない。ファミコンのようなコントローラーは付属しておらず、本体に設置されたスティックやボタンで操作をおこなうのが特徴だ。本体価格12000円で、専用のアダプターの価格が1500円という当時のゲーム機としては安価だったこともあり、ファミコンが登場するまでの覇権ハードといっても過言ではない売れ行きを見せ、総販売台数は40万~45万台だといわれている。
また、ファミコンが発売される前年の1982年に発売されたゲーム機もある。それがトミー(現:タカラトミー)から発売された『ぴゅう太』だ。厳密にいえば『ぴゅう太』はゲーム機ではなく、ホビーパソコンと位置づけられる機器である。価格は59800円とゲーム機としては高額であったが、パソコンと比べると低価格であると認知されていた。
キーボード一体型の本体には、縦型タイプのコントローラーが2つ付属している。後に発売されるファミコンと同様に、カートリッジ式のゲームソフトを入れ替えて遊ぶスタイルだった。
翌年にはキーボードなどのパソコン要素を省いた『ぴゅう太Jr.』が発売され、よりゲーム機として認知されるようになった。SNSでは「スーパーやデパートに置いてあり試しプレイで何度も遊んだ」「搭載されていた日本語BASICで自作プログラムで遊んでいた」と思い出を語る声が見られた。
1983年にいよいよファミコンが発売されるのだが、その同じ日に発売されたゲーム機が存在している。それがセガの『SG-1000』だ。この年に発売されたファミコンソフトが『ドンキーコング』や『マリオブラザーズ』など9本だったのに対し、『SG-1000』用のソフトは『セガ・ギャラガ』や『ジッピーレース』など20本以上であった。このことからセガが『SG-1000』にとても注力していたことが伝わってくる。
当時『SG-1000』を購入したファンからは、「セガのアーケードゲームが遊べるからSG-1000にした」との声がSNS上であがっており、ゲームセンターで遊んでいたゲームが家庭で遊べるのは、当時の子どもたちにとって大きな魅力だったことが分かる。
これらのゲーム機は、当時子どもだった大人たちに忘れられない思い出をいくつも作っている名機だといえるだろう。また、2024年5月には任天堂がNintendo Switchの後継機に関するアナウンスを今期中に発表すると表明している。Nintendo Switchの後継機やその他の新作ゲーム機は、『カセットビジョン』や『ぴゅう太』、『SG-1000』のように、これまでにない感動を子どもたちに与えてくれるのか、今から楽しみだ。