2023年10月に薬物使用が疑われ、警察から3度目の調査を受けた後に死去した、俳優のイ・ソンギュンさんの捜査情報漏えい疑惑について、警察は情報を流出させた警察官と検察捜査官から情報を受け取った記者たちを送検したと、韓国で報じられた。
記事によると、京畿(キョンギ)南部警察庁反腐敗・経済犯罪捜査隊は6月27日、公務上秘密漏えいおよび個人情報保護法違反の容疑で、仁川(インチョン)警察庁所属の警察官と、仁川地検所属の捜査官を送検したことを8日に公表。
また、個人情報保護法違反の疑いで、ウェブ芸能メディアのDispatchや京畿新聞など、異なる報道機関の記者4人を送検したという。
送致された警察官には、イ・ソンギュンさんの薬物事件の捜査状況が記された報告書を記者に流出させた疑いで、検察捜査官は「イ・ソンギュンさんが、薬物使用容疑で警察の捜査を受けている」という情報を、京畿新聞の記者に通話で流出させた疑いがかかっている。
流出させた報告書は、仁川警察庁麻薬犯罪捜査係が2023年10月18日に作成したもので、イ・ソンギュンさんの薬物事件に関する捜査対象者の氏名と前科、身分、職業などの個人情報が記載されていた。
同警察官は、この報告書を写真に撮影して記者に送ったり、通話で内容を伝えたりして、捜査状況を流出させたという。
その結果、直接的・間接的に報告書を受け取ったり、内容を確認したりした記者は、Dispatchの記者をはじめ、全3人であることが把握されている。
イ・ソンギュンさんが死亡した翌日の23年12月28日、Dispatchはこの報告書の原本の写真をはじめ、報告書の内容を報道した。
京畿新聞は23年10月19日、「トップスターL氏、薬物使用容疑で捜査中」という見出しで、この事件を単独報道。以降、複数メディアの後続報道が相次ぎ、事件が大衆に知れ渡った。
イ・ソンギュンさんは当時、警察の調査を控え非公開調査を要請したが、受け入れられないまま捜査を受けていた事実が明らかになり、物議を醸していた。
その後、京畿南部警察庁は仁川警察庁から依頼を受け、6カ月近い調査を行った結果、捜査当局関係者2人、マスコミ関係者4人、計6人の刑事処分を決定。
個人情報保護法には、個人情報を流出させた側はもちろん、提供された側に対しても処罰が可能だと明示されている。
一部の記者は、事件報告書を入手したものの、その情報を利用した報道は行わなかったとされているが、警察は「徹底したセキュリティーの中で、捜査中だった事件対象者の氏名等、内密な個人情報を受け取った行為そのものが違法である」と説明。
そして「報道の自由も重要だが、個人情報自己決定権の重要度が日々高まっている点を考慮すれば、記者もまた処罰の対象になると判断」「国民の知る権利、公共の利益は重要だが、捜査対象者の実名を流出させることは、個人情報保護法に抵触する」と強調している。