東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)への出馬を表明している立憲民主党の蓮舫参院議員が9日、東京・杉並のJR阿佐ヶ谷駅前で街頭演説を行った。
今月2日に東京・JR有楽町駅前で行った街頭演説では、その内容が公職選挙法違反となる「事前運動」に当たる可能性を指摘されていた。この時の演説で蓮舫氏は「この夏、七夕に予定されている東京都知事選挙に蓮舫は挑戦いたします。皆さんのご支援、どうぞよろしくお願いいたします」とあいさつ。さらに、応援に駆けつけた同党の枝野幸男前代表が「みんなが安心して住める東京、日本をつくっていきましょう。そのためには蓮舫さんを勝たせましょう」と呼びかけていた。
事前運動については「選挙の特定」「候補者の特定」「投票依頼の呼びかけ」という要素がある。NHK党の浜田聡参院議員は6日の参院総務委員会で、蓮舫氏の演説がこれに当たると指摘していた。
9日の演説では冒頭で「『蓮舫は批判ばかり』と批判されてる蓮舫です」と自身への言葉を皮肉り聴衆をわかせた。自身の国会での活動を伝えた上で「こんどは東京都のために仕事をしていきたいと志を持っています」と決意を示した。
都政の実情がしっかりと伝わっていないとし「だからわたしは、記者会見で『夏の挑戦』を言わせていただいた時に、あらためて問わせていただきたいのは、公約が全てです」と語った。「都知事の公約が守られているかどうか。満員電車なくなりましたか?介護離職なくなりましたか?残業なくなりましたか?『7つのゼロ』検証しようじゃないですか。現職の人が『自分は公約を守った』と言っているのであれば、ファクトで問わせていただきたい」と小池百合子都知事の実名は出さずに都政に疑問をぶつけた。
続けて神宮外苑の再開発の見直しの必要性も強調。東京オリンピック・パラリンピックの選手村として使用された建物を、分譲マンションに改修した「晴海フラッグ」の4分の1以上が投機目的で法人に購入されている問題についても見直しが必要とした。
その上で「わたしは挑戦する思いをいま一度強くしている」と力説。「自民党が支援する人には絶対に負けたくないとあらためて思っていますが、みなさん助けていただきたい」と呼びかけた。
この日は、有楽町の時に使った、投票日である「七夕」を封印して「夏」に変換。都知事選への立候補を表明した会見とみられる「記者会見」についても具体的には言わなかった。小池氏の名前は出さずに「現職」や「都知事」と表現して「負けたくない」相手が誰であるかもぼやかし、投票を促すのではなく「助けて」とするなど、表現に気を配った演説となった。