人の命を軽々しく奪ってしまう凶暴なシスターのオダマキ・アンズは、あまりもの傍若無人ぶりが災いし、危険エリアに厄介払いをされてしまう。その街で心優しいシスターのフィーリアと出会い、これまでの過去を精算し新たな人生を歩もうと決意する。はたして、アンズは善の心を取り戻すことができるのか?─「SISTAR CL/ROWN」Episode1.─
「善と悪」や「過去の自分」というテーマを取り上げた作品「SISTAR CL/ROWN」が静かな人気を集めている。講談社が運営する漫画投稿サイト「ジャンプルーキー!」に投稿されたこの作品は、女性二人の人生観を通じて、多くの人たちに共感を呼ぶ苦悩をエンタメ要素たっぷりに描いていく。
作者は、伊藤修平さん(@Uoti0611)。漫画投稿サイトへの投稿や、SNSでイラスト作品を発表する現役高校生の漫画家だ。今回は、「SISTAR CL/ROWN」の創作のきっかけや裏側について話を聞いた。
出発点は「百合だけじゃ、マンネリ化する」
人の命を簡単に奪ってしまうシーンからスタートする、ファンターでは異色ともいえる本作。伊藤さんによると、もともとは全く別のテイストの作品だったという。
「もともとは、百合漫画を描いてみたいと思い、『SISTAR CL/ROWN』を書き始めました。修行僧は修行の環境上、男色になりやすいというのを聞いたことがあり、それの女性版として主人公達は教会に所属する設定になりました。ただ、百合要素だけじゃマンネリ化するかなと思い、後にダークファンタジー要素を付け加え、そこに宗教的な設定を……とやっているうちに今の作風になってしまいました」
少年誌の王道作品のようなストーリーだが、テーマは多くの人に共感を呼ぶような苦悩にピントを当てている。ひとつは、「環境が作る善悪」。環境によって、善と悪の見え方が変わってしまうというもの。そして、もうひとつが、「過去の呪縛」。
「言ってしまえば過去の後悔ですね。あぁしていれば良かった、あんなことしなければ良かったということは誰にでもあるものですが、その後悔を解消しなければ一生背負い続けたままだろうな……と思うんです。連続性がある故の苦痛と言いますか、そういう苦しみを生み出したり解消したり、人生の営みを描くことで、キャラクターに現実味を帯びさせたり、読者に何かしらの気づきを与えられたらなと思います」
切実なテーマ性をエンタメ作品に仕上げてしまう伊藤さんは、今後はどのような展望を描いているのか?
「今後、描きたい作品についてはいくつか構想があるんですが、とりあえず『SISTER CL/ROWN』を終わらせることに尽力します。次、描くとしたらThe少年漫画って感じのものを書きたいですね」
伊藤さんが成長を重ねる中で、次はどのようなテーマで作品を描くのか。期待したい。
<伊藤修平さんInformation>
▷エックス
https://x.com/Uoti0611?s=20
▷『SISTER CL/ROWN』の続き
https://rookie.shonenjump.com/series/pGBIkZlZcVQ