IU新曲MVで「障がい者卑下」論争、韓国・障がい者差別撤廃連帯「批判ではなく健全な議論を」

椎 美雪 椎 美雪
「Love wins all」MVオフショット(出典:IU Instagram)
「Love wins all」MVオフショット(出典:IU Instagram)

 韓国の「全国障がい者差別撤廃連帯」(以下、全障連)が29日、IU(アイユー)の新曲「Love wins all」ミュージックビデオについてコメントを発表した。

 これに先立ち「Love wins all」のMVが公開されると、IUとBTSのV(ブイ)の人物設定についてネット上でさまざまな論議が提起された。劇中IUは手話を使い、Vは視覚障害を持っていることを暗示させるのだが、廃虚で見つけたビデオカメラを通して見える2人は、障がいがなくなったように演出されていた。そしてこれについて「障がい者卑下」あるいは「無知」という指摘が相次いでいた。

 この論争が広まると、全障連は「Love wins all」の歌詞を引用した文章とともに、障がい者や性的マイノリティーがみんなで仲良く笑っている絵をホームページに掲載。そして「『Love wins all』1位獲得、心より祝福する」とつづり「たくさんの議論や批判は十分に理解している。私たちは議論や批判とともに加えて、障がい者の人権に対する社会的関心を拡張し多様な社会的マイノリティーの存在を、芸術コンテンツでどのように扱うべきかについて、大衆の皆さんとIUさんとともに悩みたい」と明かし、批判ではなく健全な話し合いを促した。

 また「私たちは毎朝、該当MVの〝キューブ〟のような存在とけんかしている」伝え、「インターネットはもちろん、現場でも出くわす多くの差別と嫌悪感、悪口も飲み込んで障がい解放の世界を夢見て闘っている。そうして私たちは〝大嫌悪の時代〟を生きている」と言及した。〝キューブ〟とはMV冒頭から登場し、IUとVを執拗に追いかけてくる物体のこと。同映像の演出を担当したウム・テファ監督は〝キューブ〟について「主人公への差別を意味し、私たちの日常にまん延しているさまざまな差別や、抑圧などを意味するものと解釈できるだろう」と説明している。

 全障連は最後に「IUさんと私たちが歩む道でいつか出会い、誰も排除されない世界を一緒に作り、〝The real『Love wins all』〟を叫んでほしい」と付け加えた。

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