『アベンジャーズ』シリーズのハルク役などで知られる俳優マーク・ラファロ(56)は、実弟が殺害された頃、俳優を辞める覚悟をしていたことを明かした。役者としての目標を達成したと感じていた2008年に、弟スコット・ラファロさんが殺害される事件が発生。当時、マークはビジネス主導の自分の職業に嫌気がさしてしまったそうだ。
ただ、それがきっかけとなり、自分のやりたいことを見直したことで、代わりに『シンパシー・フォー・デリシャス』の監督をすることに目が向いたとし、ハリウッド・リポーターのトーク番組『アクターズ・ラウンドテーブル』でこう語った。
「自分の夢があって、それが実現し始める。でも、それは自分が思っていたようなものではなくて、ある時点で自分から離れてしまうんだ。 次に気づくのは、それがすべてビジネスであり、自分のキャリアに対する誰かの考えであって、自分の考えていたものとはあまり関係のないキャリアを歩むことになるんだ」「弟が亡くなり、その直後にずっと構想を練っていた映画の監督をした。撮影している時、『俳優業に戻りたいかどうかわからない。ここ(監督)の方がずっと居心地がいいんだ』って思ったよ」
マークは、2010年の『キッズ・オールライト』のポール・ハットフィールド役で再び俳優業に復帰。「最後」の仕事になると決心していたが、その役によって演じることに再び楽しみを見出したという。
「そして、自分がやりたかったような素晴らしい役を手に入れた」「これが僕の最後の俳優業になるんだと思っていた。それが『キッズ・オールライト』だった」「この映画に臨むにあたって、僕はただ『やりたいことは何でもやる。もうルールはない。誰かのために誰かになる必要はないんだ』と思っていた」「それで、ただ自分の好きなようにやったのさ」
この作品でアカデミー賞をはじめとする数々の映画賞にノミネートされた。一方で俳優業にこだわる決心が常に揺らいでいたのは、更なる監督業の機会がなかったからだそうで、「誰も『ねえ、もう1本監督しない?』とか言わなかったんだ。それに自分の道を見つけたのに」と続けた。