英国のミュージシャン、ジュリアン・レノン(60)が、ザ・ビートルズの『ヘイ・ジュード』によって「追い詰められた」ことを明かした。同バンドの故ジョン・レノンさんは日本人アーティストのオノ・ヨーコとの不倫を認め、1968年5月に最初の妻シンシア・パウエルと離婚。その後、当時5歳だったジョンとシンシアの息子ジュリアンを慰めようとしてポール・マッカートニーはこのバラードを書いた。
別れた後、ウェイブリッジに住んでいたシンシアとジュリアンに会いに行った時に歌詞を思いついたというポールが、自分のために曲を書いてくれたことに今でも感動しているジュリアンだが、45年経った今も常にその曲を耳にし、ファンとそれについて話さなければならないことに苛立ちを覚えることがあるという。
ジュリアンはエスクァイア誌にこう話す。「最初は『ヘイ・ジュールズ』だったけど、リズム的にはいまいちだった。『ヘイ・ジュード』の方が良い表現だった」「ポールは母と僕を慰めるために書いてくれた。それは美しい感情であることは間違いないし、とても感謝している。でも僕はそれによって追い詰められてもいる」
「彼が僕について、そして母のために曲を作ってくれたことはとても嬉しいけど、機嫌によっては良いことでもあれば、ちょっと苛立ちを覚えることでもある。でも僕の心の中では、それについて悪い言葉はひとつもないよ」
ジュリアンは、悲しい状況を受け止め、それをより良いものにしていくという歌詞が今でも彼にとって非常に心に響くので、この曲は今まで以上に自分にとって意味を持つようになったと強調した。
「最初この曲のコンセプトは母のことだったと思う。でもその後、自分の身に降りかかってきて、その後の人生で僕はいったい何に対処しなければならないかを悟ったんだ」「(ポールは)間違っていなかった。どんな形であれ順風満帆ではなかった。僕はいつも強気の顔をしてきたけど、それはトラウマになるような人生だった。それは間違いない。そうした出来事やトラウマを乗り越えてきたんだ」
「年を重ねることは救いだと思う。僕は老いという言葉を使うことさえ嫌いだけど。自分にとって年齢は関係ない。僕にとって年齢とは、健康で健全な精神状態である限り、知恵や経験、物事が今の自分にどう関係しているか、今の人生で何が重要かということなんだ」「『ヘイ・ジュード』は僕にとって今まで以上に重要な意味を持つものになっているということだろうね」