異色のクリスマス漫画が話題 なぜか人々から恐れられる不思議なサンタが子どもを救う!作者が語る

橋本 未来 橋本 未来

 「何で人間は僕を怖がるんだ」と嘆きながら、人々にプレゼントを配ろうとする不思議なサンタ。突如として、街なかの一軒家から火の手があがり、室内に取り残された子どもを救おうとサンタは懸命に救助活動を繰り広げるが……。思わぬ結末に、「思わず、笑ってジーンとする」と評判の作品──『僕はあくまで、サンタさん』

 クリスマス関連の作品が続々と登場する中、異色の漫画が注目を集めている。人々から愛される存在のサンタが、なぜか「嫌われ者」という設定の中で、健気すぎる活躍を見せる作品『僕はあくまで、サンタさん』は、「健気で愛くるしい!」「ラストシーンにジーンとした」と好評を博している。
 


 作者は、SNSで個性際立つショートエッセイ漫画も人気を得る、漫画家の田田田田(ただ・でんた / @tadadenta)さん。漫画家になった契機から、本作の魅力についても余すところなく語ってくれた。また、本記事には特別に『僕はあくまで、サンタさん』前編を紹介する。

バトルのない王道漫画のつもりで

 そもそも、田田さんが漫画家を志したのは、高校生のとき。本格的に創作した作品を出版社などで持ち込むようになった。
 


「高校卒業後はデザイン系の大学に行きましたが、在学中はあまり漫画制作はしておらず、その後、普通に就職をしました。会社員時代も忙しくて、あまり描かなかったですね。漫画を描けないストレスや、人間関係から精神的に体調を崩して退職……。その後、1年間で15本ほど読み切り作品を描き、運よくそのうち1作が受賞し、担当さんが付きました。今もデビューを目指して投稿持ち込みを繰り返しているところです」

 積年の思いを抱えながら、創作に打ち込む中で生まれたのが本作だ。サンタを主人公にした作品は多いが、その設定に意表をつかれる。

 「嫌われ者を主人公にしたいという思いが、最初にありました。そこで逆に、『人気者って誰だろ?』と考えて、サンタさんが出てきました。そのサンタが嫌われたら面白いかなと思ったのがきっかけです。実は、サンタさんをモチーフにした作品は過去に2作描いたことがありました。残念ながら両方とも結果が出なかったのですが、『サンタさんなのに嫌われる』という設定は活かしたいと思っていたので、3度目の正直のつもりで『僕はあくまで、サンタさん』にやりたいことを全部、詰め込んだ感じです。私の中では、バトルのない王道漫画を描いたという感じですね」

 ストーリーの異色さと共に、「人々から忌み嫌われる」という部分を強調するためか、サンタのヴィジュアルは不気味な仕上がりとなっている。

 「言葉遊び的な理由で『サンタとサタン』って似てるな〜から入りました。悪魔なので、人間ではない造形にしようと意識して描いた結果、怖いヴィジュアルになったのかもしれません」

 類例のない本作には、賛否の意見があるそうだが、おおむね一般読者からは好評を得ているという。今後の目標については、青年漫画向きの大人な絵柄で心理描写に重きを置いた作品に挑戦したいと話す。そして、「目指すはデビューと連載ですね。まだまだ、実力不足なのはわかっているんですが、結局は作品を作らないと始まらないので、今後もたくさん漫画を描いていきたいと思います!」と、強い意気込みを語ってくれた。定番キャラを活用した異色作を描いた田田さんが、これからどのような作品を生み出すのか、楽しみでならない。

 <田田 田田さんInformation>
■エックス(旧ツイッター)
https://x.gd/w6mTq
 
■田田さんの他作品はコチラ
https://manga-no.com/@tada-denta/mangafolio

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