俳優ロバート・デ・ニーロの製作会社が、元秘書の女性に損害賠償126万ドル(約1億9000万円)を支払うよう命じられた。「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」が公開中のデ・ニーロは、秘書として働き始め最終的には自身の製作会社カナル・プロダクションズの製作財務担当の副社長となったグラハム・チェイス・ロビンソンさんから、性別による不当な扱いを受けたとして1200万ドル(約18億円)の損害賠償を求められていた。9日、ニューヨークの連邦裁判所で行われた裁判では、5時間にわたる評議の末、性差別と報復の責任はデ・ニーロ本人ではなく、その製作会社にあるとして、陪審団が判決を下したかたちだ。
ロビンソンさん側の弁護団は、今回の判決を歓迎し、「陪審員が私達の見解に同意したことを嬉しく思います」と声明を出している。
同裁判でデ・ニーロは、ロビンソンさんを「酷く叱りつけた」ことを認めていた。大切なミーティングを前に起こしてくれなかったことでロビンソンさんに怒鳴ったかと判事から尋ねられたデ・ニーロは、ロビンソンさんを激しく叱りつけ「不機嫌」「ぶっきらぼう」「甘やかされたクソガキ」と呼んだことを認めたものの、「声を荒げたが、叫んではいない。それに異議を唱えるだって?私はそんなことはしない」として、怒鳴ったことに関しては否定した。
しかし証言中には、デ・ニーロが数回声を荒げる場面があった。別の男性社員と平等に給与が支払われていなかったという訴えに対して「彼女が俺を捕まえようとしている全ての小さなことはナンセンスだ!恥を知れ、チェイス・ロビンソン」と叫んでいた。また女性であることから差別されたという訴えに対しては「馬鹿げている」と否定した。
ロビンソンさんとの法廷闘争は2019年8月、カナル・プロダクションズが、会社の資金を私用に使い込んだとしてロビンソンさんに600万ドル(約9億円)の損害賠償を求めたことから始まり、それに対しロビンソンさんが、職場におけるセクハラと性差別による不当な扱いで1200万ドル(約18億円)の損害賠償を求める反訴を起こしていた。