韓国・ソウルの梨泰院(イテウォン)で発生した雑踏事故から、1年が経とうとしている。
2022年10月29日、ソウルの繁華街として知られる梨泰院では、ハロウィーンイベントを楽しもうと、多くの人々が街へ足を運び、楽しんでいた。そんな中、狭い傾斜のある道路では行き交う人々がひしめき合い、身動きが取れない状態に。ほどなくして群衆雪崩が発生し、わずか1時間で159人もの命が奪われてしまった。
韓国メディアのインサイトによると26日、韓国のKBSでドキュメンタリー番組「梨泰院」が放送され、生存者のインタビューや犠牲者の記録を伝えたという。
残された者たちの悲しみは今もまだ生々しい中、事故当時にやっとの思いで生き残った生存者であり、負傷者であり、愛する人を失った人物が、カメラの前で初めて語った。
ビョンウさんは婚約女性のイ・ジュヨンさんを、梨泰院圧死事故で失ったと明かす。
「事故が起きたあの日は、ジュヨンと一緒にウエディングドレスを見に行く日だった。とても胸が高鳴っていたのを覚えている」と回想する。その後、梨泰院で行われているハロウィーンパーティーを見に行こうということになり、ハミルトンホテルの裏側へ到着したという。
事故現場となった通りを歩いていた時「大きな波に流されているような感覚だった」と言い「みんな一緒に流されているような感じだったので、ジュヨンに『ここは危ないから出よう』と言って、彼女と方向を変えて降りて行った」と語った。
しかし、路地を下っていたはずのビョンウさんは自身も知らぬ間に気絶、意識が戻った時はとあるヒップホップクラブの前にいた。斜め前に見えたジュヨンさんは頭をぐったりと下げ、すでに意識不明だったそうだ。
ジュヨンさんは救出された後に建物を転々とし、30日の午前2時過ぎに多目的体育館へと搬送される。この時、建物内には40人以上が搬送されていたが、生存していたのはビョンウさんただ一人だったという。
ビョンウさんは「あの日全ての瞬間に、後悔が残っている」「左側に行けばよかった、梨泰院になぜ行ったのか、地下鉄に乗ればよかった。僕がジュヨンに告白しなければよかったと、遠い過去まで後悔して、全ての瞬間の僕の人生に後悔している」と涙する姿を見せた。
放送を観た視聴者もまた、身近で起こった事故に再び胸を痛め、涙したという。