「情熱大陸」。誰もが知る有名なTBS番組です。
その番組に大学の同級生である竹政伊知朗君が出演しました。学生時代から非常に優秀で、美男子。「天は二物を与えず」とよく言われていますが、彼には当てはまらないと感じていたのは私だけではないはずです。結婚式の際にも、同じような文言を別の友人が話していました。
さらに医療に対する情熱は人一倍で、まさに「情熱大陸」にふさわしい人物です。現在は、関西から遠く離れた札幌医科大学で外科の教授をしていますが、手術の腕が非常に素晴らしく、第一線で手術をしています。世界で初めての手術に取り組んで成功し、名実共に素晴らしい外科医だと言えるでしょう。
私は、医師になってから7年間、関東の病院で学んだために関東に知り合いが多数います。先日、東京でロボット手術(ダビンチという機械を用いた特殊な手術で、自由に行うためには技術認定が必要)が、非常にうまい後輩の医師と食事をする機会がありました。話題に上がったのは、もちろん我らがヒーロー「竹政伊知朗」でした。
私の後輩も手術が非常に上手で、食道癌、胃癌、大腸癌、膵臓癌などをロボット手術でこなします。普通の外科医は、食道癌なら、食道癌だけということが多いのですが、日本広しといえども、これほど広範の臓器をロボット手術でできるのは彼だけかもしれません。そのうち、後輩も「情熱大陸」に出ることがあるのでは?と思うほどです。
後輩との会話の中で、手術が下手なのに自覚していない人間の話が出てきました。これは、本当に残念な話です。時々、メディアでも取り上げられ、問題になっていますが、手術をすれば高確率で患者さんが合併症を起こしたり、死亡するという外科医、内科医です。
彼の話によると、患者さんを人と思っていないのではないか、と思うくらい乱雑な治療を行うケースもあるそうです。手術、治療に携わる人間は、医療の勉強をすることはもちろんですが、同じように人間性も大事です。竹政君や後輩のような“突出”した技術を持っている医師は一握りですが、患者さんを思いやることは、誰でもできるはずです。まずは、人に対して優しい気持ちをもって治療に望んで頂きたいと切に思います。