人気声優の夜道雪 大胆写真集に手応え「泥くさく正直に生きたい」バイク女子など多彩な活動の原点とは

山本 鋼平 山本 鋼平
都内で取材に応じた夜道雪
都内で取材に応じた夜道雪

 声優の夜道雪が15日、2作目の写真集「こいしき」(KADOKAWA)を発売した。鹿児島で7月下旬に撮影。主人公・小熊を演じた人気アニメ「スーパーカブ」のエピソードと同様に、本土最南端の佐多岬を目指す旅が描かれる。水着、ランジェリーなど大胆カットにも挑んだ。声優の他にグラビア、YouTube、バイク、eスポーツ、コラム執筆などマルチかつ密度の濃い活動でも知られている夜道に話を聞いた。

 約2年ぶりとなる新作のテーマは〝夜道雪、ひと夏の旅〟。旅先の景観、宿泊先の空間で、目まぐるしく変わる23歳の素顔とグラビアが収められた。「アニメでは『カブで春を捕まえに行こう』と小熊たちが佐多岬を目指しますが、私は夏でしたね」。自身が演じたキャラクターとリンクする撮影を楽しそうに振り返った。「同じ衣装でも夜に撮って、次の日の朝にも撮る場面があります。朝の3時、4時に起きて準備するのが大変でした」。明け方から深夜まで行われた撮影の苦労を語った。

 夜道は「小熊ちゃんや演じてきたキャラクターを愛しているので、声優の仕事は大切にしたい」と話しつつも「夜道雪をもっと知ってもらいたい。そのきっかけが増えるのはうれしい。グラビアは体型の管理とか準備が多くて、屋外の撮影は日焼けとかも大変。でも頑張った分だけ反響が大きい」と、表現の幅を広げるやりがいを口にした。

 北海道・札幌市出身。14歳でスカウトされ、ローカルタレントの活動を開始。17歳で声を褒められ、配信ゲームのキャラクターを演じたことが転機だった。声優を志し、18歳で上京。養成所に入り演技を磨く一方、現在は9台を所有する趣味のバイク動画などをYouTubeに投稿した。2021年春に放送された「スーパーカブ」の主演で知名度が上昇した。バイク女子としてバイク雑誌やイベントへの登場し、グラビア活動、eスポーツ、歌手などマルチに活動。YouTubeは自ら編集する。そこでは23歳の女性が9台のバイクを維持する工夫や家賃を抑える秘密などが発信されてきた。小熊はスーパーカブを運転し、今年春のアニメ「六道の悪女たち」で演じた姫野莇美は白バイに乗る。実体験は演技にも役立った。

 「声優だけではなく色々なことに挑戦しています。それは気が散っているのではなくて、全部のことに集中しているということなんです。バイクは高校生の頃から乗っています。決して裕福ではない家庭の、普通の女の子でもこれだけやれる、ということを成し遂げたかった」

 幼少期。年齢の離れた兄、いとこに囲まれ、家族にとっては「何を考えているか分からない、お人形みたいな子ども」だったという。「本当の私はいろんなことを考えていて、話をしたかった。だけど年が離れているので、どうやって話に入ればいいか分からなかった」。小学校高学年になるまで口数は少なかった。その複雑な思いのためだろうか、建前と予定調和、綺麗事や美談を嫌うようになった。「暗くてゆがんだ視点で物事を見ていましたね」。学校では周囲に馴染めない少女だったという。

 表現欲が強く、本音を隠さなくなった夜道。「私がバイクに乗る動画を出すとき、バイクに乗れない境遇の人はどう思うのか、心配になることがありました。あるイベントで、車椅子の方から、バイクの動画が自分が乗っているような気持ちになって好き、と言ってもらってすごくうれしかった」。時に波紋を呼ぶことがあるからこそ、認められた際の喜びも一層大きくなる。「泥くさく正直に生きたい。そうすれば認められなくても、自分自身が心地いい」。打算ではない本気さが、ファンの支持を得ているのだろう。

 2作目の写真集。お気に入りは、桜島をバックにビキニ姿を披露したカットだ。「鹿児島らしくて、背景の青さと私の赤髪のコントラストが好き。四六時中撮影していたので、いろんな夜道雪が入っています」と呼びかけた。火山のような表現欲をこれからも発揮していく。

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