「THE FIRST SLAM DUNK」湘北ファイブが初の勢ぞろい!「返せ」だけでなかった井上雄彦監督のこだわり収録

山本 鋼平 山本 鋼平
宮城リョータ役の仲村宗悟(中央)のかけ声「1、2、3、勝~つ」で盛り上がる、三井寿役の笠間淳(左から2人目)、流川楓役の神尾晋一郎(右から2人目)、桜木花道役の木村昴(左端)、赤木剛憲役の三宅健太(右端)=都内
宮城リョータ役の仲村宗悟(中央)のかけ声「1、2、3、勝~つ」で盛り上がる、三井寿役の笠間淳(左から2人目)、流川楓役の神尾晋一郎(右から2人目)、桜木花道役の木村昴(左端)、赤木剛憲役の三宅健太(右端)=都内

 日本だけでなく韓国、中国など海外でも大ヒットを記録中の劇場版アニメ「THE FIRST SLAM DUNK」(井上雄彦監督)で、湘北高バスケットボール部の主力〝湘北ファイブ〟を演じた5人の声優が7日、公の場に初めてそろった。公開から156日目。宮城リョータ役の仲村宗悟、三井寿役の笠間淳、流川楓役の神尾晋一郎、桜木花道役の木村昴、赤木剛憲役の三宅健太が東京・ユナイテッドシネマ豊洲で舞台あいさつ、トークイベントに登場した。

 今作の主役となる宮城を演じた仲村は「湘北メンバーの5人で立てて嬉しかった」と、ようやく実現したそろい踏みに感慨深げだった。

 収録に2年をかけた大作。三井役の笠間は、原作漫画を愛読し、学生時代はバスケットボール部で三井に憧れシューターとして活躍。原作者の漫画家で、今作では監督を務めた井上雄彦氏と過ごした時間を「本当にいるんだ、と思いました。大好きな作品を生み出している方が目の前で、すごくフランクに接してくれる。感激しました」と振り返った。木村は「すべて終わった時に井上監督から、一緒に二人三脚で桜木をつくっている感じで楽しかったです、と言ってもらったことですね」とうれしかった出来事を挙げ、「収録から半年たった後のリテイクもありました。自分から、こういうのどうですか、と提案すると監督は面白いと言ってくれた。そういうことを経たので、最後の言葉は、声優冥利に尽きます」と振り返った。

 〝リアリティー〟を演技方針に掲げた井上監督との収録は、木村が「何もかもが声優人生で培ってきたものと違いました」と振り返るほどだった。

 木村は「これまで勉強してきたことは、いかに分かりやすくて、派手で、迫力のあるお芝居ができるか。監督はリアリティーを追求するので、自分の持っているものをどれだけ抑えられるかが課題でした」と説明。作中に桜木がシュートをブロックする際のセリフ「返せ」の一言は3時間繰り返した。通常ならパワフルに気合いを込めるところだが「どれだけリアルに言えるか。あのシーンの直前になると、今でも(心臓が)バクバクしてくる」と印象的なシーンに挙げた。

 仲村は、宮城が相手チーム選手の口癖「ピョン」を拝借するシーンに苦心したという。「言葉が立つシーンでは、言葉を立たせようとしてしまうけれど、井上監督から気持ちのままにやってくださいって言われて。『ピョン』は2、30回は録ったんじゃないか」と回想。「気持ちに寄り添うことによって、立たせようと思わなくても立つ、とアフレコをやってる最中に気づきました。僕の中で、声優として階段を一つ上がれたように思う」と感謝した。

 神尾は流川がダンクシュートを決めるシーンの、息づかいに苦心した。「僕はダンクの経験がないので、フッという息づかいが分からない。バスケの試合動画を見て想像したんですけど、30回くらい『フッ』とやりました。あまり音を強くしてしまうとアニメっぽくなってしまう。悩みながら取り組みましたね」と振り返った。

 その一方、笠間は収録でやり直しを重ねる苦労はなかったという。「つらかった練習、試合後のシャトルランとかを思い出して、そのままやったら『それで』と言ってもらった。アプローチは間違っていなかった。バスケットマンだった自分をつぎ込めばいい」と胸を張った。

 三宅は試合中、赤木が桜木からかん腸をされた際、その反応の声に苦労した。「収録ごとにやり直しました。なんかうまくいかなかったですね。一瞬、抜けた部分が難しかった。緊張と緩和の緩和ですね」と振り返った。コミカルさ、平常心の一方に振れ、頃合いが計れなかったという。木村からは「僕は一発録りでしたね。すぐにイメージが沸きました」と冷静にツッコまれ、三宅は「オレは何回お尻をヤラれたと思っているんだ!」と赤木の口調で返して、会場に笑いを誘っていた。

 観客からの質問では、劇中で湘北高校と対戦した山王工業で河田雅史役を務めた声優のかぬか光明が客席からサプライズで登場。主題歌を担当した10-FEETの特別ライブ映像が映されるなどして、全国の映画館でライブ配信も行われたイベントを盛り上げた。最後に仲村が「僕は、宮城リョータを演じられて本当に幸せ者です。やっと湘北メンバー5人で立つことができて、本当に嬉しかった。次回があったら、山王メンバーとも立てる日が来ることを期待したい」と語り、締めくくった。

 同作では公開1カ月前の昨年11月に〝湘北メンバー〟の声優が、1993年放送開始のテレビアニメ版から一新されることが発表。前売券が既に販売されていたこともあり、批判的な意見も含め大きな波紋を呼んだ。しかし、公開後は旧作のファンも含めて高評価が相次ぎ、6日までに国内動員は966万人、興収138億8800万円を超える大ヒットを記録している。

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