歴史の授業で登場する「仁徳天皇陵古墳(大山古墳)」などでおなじみの前方後円墳。その特徴的な形から印象に残っている人も多いかもしれない。ツイッターで、そんな前方後円墳を再現した衝撃のクッキーが投稿され「古墳愛が過ぎる」「金払うから食べたいw」「めっちゃかわいい」などと話題になっている。
漫画家・イラストレーターの水谷さるころ(m_salucoro)氏は「とうとう理想の古墳クッキーが完成した」とつづり、かぎ穴のような形をしたクッキーの写真を投稿。周濠(しゅうごう)のクリアな水や外堤までを再現したクオリティーの高さに多くの反応が寄せられ、1日までに1万超リツイート、5.3万超の「いいね」数を獲得した。
水谷氏は「古墳はニッチで、バズりにくいジャンルだと思っていたので、『みんなそんなに古墳好きだったんだ!』と思いました。奈良の富雄丸山古墳から『国宝級』の銅鏡・鉄剣が出土した事もあって、タイミングも良かったのかもしれませんね」と感想を述べた。
古墳が好きで、元々古墳グッズを集めていたという水谷氏。製菓の趣味は全くなかったが、古墳のクッキー型を見て関心を持った。オリジナルの古墳クッキー型を作るほど夢中になり「いかに自分の満足する古墳クッキーを作るかを目指すようになりました」と答えた。
今回は市販の古墳クッキー型を用い、薄力粉、バター、砂糖、卵、抹茶で調理。ミント味のキャンディで周濠部をつくり「理想通りの見た目に仕上がった」と手応えを口にした。味に関しては納得いっておらず「抹茶クッキーに強めのミント味。まずいとも言い切れませんがかなり好みが分かれる結果になってしまいました。造形も大事ですが、やっぱりクッキーはおいしくないとダメなので味の追求をしたいです」と意気込んだ。
ミント味のキャンディに変わる代替案が多く寄せられた。次回は砂糖を原料とする甘味料のパラチニットで再チャレンジする予定だという。水谷氏は「最近、週末になるとクッキーを焼いていて、家族からは『もはや狂気を感じる』と言われています。でも、満足できるレシピと工程を得るまでやり続けます」と決意を明かした。
水谷氏は大反響にも「本業のマンガでバズってほしい」と複雑な心境を吐露。〝前方後円墳クッキー〟は、コロナ禍の密室育児で子どもにキレてしまうようになった夫とカウンセリングに行く話を描いたマンガ「子どもにキレちゃう夫をなんとかしたい!」の一部を公開したツイートの「いいね」数を大きく超えた。同書のカバー裏にはカウンセリング後、お父さんと家族で仲良く古墳へ行くイラストが掲載され〝古墳愛〟がうかがえる。
また、一部で寄せられた「前方後円墳は、前が方墳なんだから鍵穴の形じゃなくて上下反対でしょ?」という指摘について、水谷氏は「参拝者からみて拝所があるとされる方墳部分が前にあって、上座である円墳がその後ろにあるという状態を指して『前方後円墳』です。主体部(埋葬された石室)があるほうが上座で図にするときに上部にあるのが通常なので(神社の図でも常に本殿が上座、拝殿は下座)、鍵穴の状態で間違っていないです!」と説明した。