女優エリザベス・テイラーが生前持っていたダイヤモンドが、ナチス戦犯の元妻所有のものだったことがわかった。エリザベスとの結婚、離婚を2度経験したリチャード・バートンが1968年に30万5000ドル(約4200万円)で購入したアッシャーカットのダイヤモンドリングは、持ち主だったナチス戦犯アルフレッド・クラップの元妻ヴェラ・クラップに因んで「Krupp」と名付けられていたという。
ザ・タイムズ紙に掲載された、米ジャーナリストのケイト・アンダーソン・ブラウアーの著作本『エリザベス・テイラー:ザ・グリット・アンド・グラマー・オブ・アン・アイコン』の中で、オークションハウス、サザビーズのジュエリー部門トップ、ワード・ランドリガン氏は当時をこう回想している。
「オークションの後いつも私はニューヨークのオフィスの隣にあるバーにスタッフを連れて行っていました。そこで飲みながら座っていると、ラジオからエリザベス・テイラーがあのダイヤモンドを購入したというニュースが流れてきました。私は『それは素晴らしい!』と言いました」
「それから20分ほど経過し、ある人がオフィスからやって来てこう言ったのです。『エリザベスはあのダイヤモンドを今すぐ欲しいと言っています』と。私は『彼女はどこにいるんだ』と聞くと、『ロンドンです。向こうのスタッフがあなたの航空券を用意していますので行ってください』と言われました」
そしてエリザベスは1959年にユダヤ教に改宗したこともあり、元ナチスが持っていたダイヤモンドを所有することについて「1960年後半のオークションに出品された時、私のようなユダヤ人の女の子がそれを所有するなんて完璧すぎる」と皮肉混じりに話していたという。
一方、イギリス王室のマーガレット王女は当時ロンドンのパーティーでエリザベスに会った時「ねえ。あのリングは本当に下品ね」と話したものの、その後心変わりし、そのダイヤモンドを付けてみたくなったそうで、エリザベスは「もちろん(付けてもらって)大丈夫です。ほらもう下品には見えないでしょう」と返したそうだ。