往年の名車や珍車など約400台を展示する「昭和レトロカー万博2022」が20日、大阪・舞洲スポーツアイランド空の広場で開かれた。主催の昭和レトロカー万博実行委員会によると、1980年前までにデビューしたレトロカーや、2000年までのネオクラシックカー合計368台が出展。オーナー自慢の車に加え、特に有名な特別展示車も全国から集まった。
通行人からひときわ注目を集めたのは、菅原文太さん主演の映画「トラック野郎」シリーズ撮影のため1975年に作られたデコトラ「一番星号」。一時は廃車になっていたが、デコトラ愛好団体「哥麿会」の田島順市会長が引き取り、約5年をかけて補修した。
オリジナルに忠実に描き直した車体イラストは、「トラック野郎」の美術監督が監修。全ての面を仕上げるまで約3年かかったという。内装の生地も映画の姿に忠実に張り替えた。田島会長は「50年前と同じ模様じゃなきゃだめ。特別なファンが多いんで、『これは映画と違う』と知ってるんだよね」とファンの思いを受け止めていた。
1960年式の「くろがね・ベビー」は、自動車メーカー・東急くろがね工業が生産していた絶版車で〝軽トラの元祖〟として知られる。走行できる状態で残っているのは日本に1台のみといわれ、福岡県久留米市でレトロカーの博物館を開く松﨑秀樹さんが所有している。前のオーナーを約10年かけ説得し譲り受けた車で、バンパー付近の「つるっとした感じ」の形が特にお気に入りという。上下に揺れる乗り心地だといい「普通の車では感じない感覚」とうれしそうに話した。
ほかにも、日本に存在するのは3台のみといわれるダイハツの三輪自動車「ビー」、〝四輪ホンダ車第一号〟でスポーツカー並みのエンジンを持つ軽トラ「T360」、エアコン機能をカスタマイズした日産「チェリー クーペ X―IR」、など所有者が大切に保管する旧車が並んだ。