【漫画】賛否が渦巻く衝撃の1ページ『月に嫁いだ幼馴染の話』切なすぎるラブストーリーが話題

橋本 未来 橋本 未来

 ショート漫画や4コマが多いTwitterでは珍しく、とある32ページのストーリー漫画が話題となった。『月に嫁いだ幼馴染の話』というタイトルが示す通り、月に嫁ぐことになった女性と、その幼馴染である男性とのやりとりを描いた作品で、1万件近くのいいねが付く反響となっている。

 この作品を描いたのは漫画家の、ののもとむむむさん(@muryard)。自身の人生に迷いながら漫画創作の道を進み、“描くことが、生きること”との思いで描いた作品の数々は、SNSで見掛けることが多いライトな作風ではなく、胸に迫るテーマやセリフが特徴的だ。そこで今回は、ののもとさんにメールで取材を行い、『月に嫁いだ幼馴染の話』に対する思いや、創作の背景について話を聞いた。

「普通の漫画が描けない」からの出発

 デザイン会社を退職し、アルバイトをしながら漫画制作に打ち込んでいたののもとさんは、一種の自己慰安のひとつとして漫画創作を行うようになったと話す。「Twitterで漫画作品を発表するようになったのは、なけなしのお金でデジタル機材を購入したこと。そして、会社で心を複雑骨折してしまい退職、その後収入も途絶え、生き死にについてシビアに考えることがあった時、自分の漫画に反応してくれる環境があることに救われていたからです」。

 そうした中で、今回取り上げた『月に嫁いだ幼馴染の話』を創作することになったのは、自身への挑戦という思いもあったようだ。「なんで自分は“普通”の漫画が描けないんだろうという思いから描きました。キャラクターがいて、物語があって、起承転結がある。そういう漫画を描く実践課題として描きました」。自身の成長と、これまでの思い。その2つの情熱を注ぎ込んで生まれた作品だった。

 

 この作品を読み進めると、ラスト辺りに登場する、とある1ページに賛否の声があがっている。ある種、グロテスクにも見えるこの描写は、一体どのような意図で描かれたのか。「漫画ってページをめくるときに、未知の恐怖の中に飛び込むという楽しみ方があると思っているのですが、そういう読ませ方をしたくて作りました。また、私自身バンって突き放されるような作風が好きなので、そういう影響もあります。もっというと、読後に“問い”が残されるような作品が好きです。ただ、この作品はあまり多くの人に読まれることを想定していなかったので、“答え”の部分が不十分だと思っています」

 

 これからの活動について、「不特定多数のみなさまから見ても『面白い』『つまらない』と意見をいただけるような漫画を描ければと思います。まだ何もできていないので、少しは痕跡を残していきたいなと思っています。また商業と個人で、“問い”と“答え”の分量を使い分けていければと思います」と話してくれた。さらりと読み飛ばす作品が求められるSNSにおいて、独自の道を拓こうとする、ののもとさん。今後、どのような作品を描いてくれるのか楽しみでならない。

 ◆◆ののもとむむむさん
 
▶Twitter /
https://onl.tw/UjZW5qS
 
▶作品の販売ページ /
https://softmatine.booth.pm

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