セクシーアイドルグループ・恵比寿マスカッツの4代目リーダーを務めた市川まさみ(31)、同期の三上悠亜(28)、市川をリーダーに推薦したみひろ(40)がインタビューに応じた。13日に東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで開催された、メンバー27人全員が卒業する、実質的な解散ライブ「第2世代 恵比寿マスカッツ 真夏の卒業式」の終演から1時間後。充実感と達成感に包まれた3人が、それぞれの思いを語った。
―――2013年に解散した初代を受け継いだ第2世代。15年から7年間の活動だった。公演では人気曲からグループ内ユニット、ソロ曲を含む32曲を披露。番組で共演したオアシズの大久保佳代子が、おぎやはぎ・小木博明の祝辞を読み上げ卒業証書を授与した。初代リーダー・蒼井そら、2代目リーダー・麻美ゆまにも見守られ、各メンバーが笑いあり涙あり、個性豊かな答辞を述べた。新曲「7色ストーリー」を満員のファンと一体になって熱唱し、有終の美を飾った。
みひろ:すがすがしい気持ちでいっぱいです。ぐしゃぐしゃに泣くと思ったけれど、結構笑って歌えたのは自分でも意外。冷静に楽しめたのかな。
市川:私もすごくスッキリしていて、もっと悲しくなったりするのかなと思ったけれど、卒業証書をもらえて思いを伝えたら、本当に後悔なく、今は明るい気持ちです。
三上:私はどちらかというと泣かないと思われていて。
市川:思っていた。
三上:でも意外と涙もろくて、人が泣いている姿とか、その人の今までの歴史を感じると、勝手にその人生に入りこんじゃうんですよ。自分のことよりも、人のことに感情的になってしまう。みひろさんとかいっちー(市川)との出来事が走馬燈のように浮かんでいました。
みひろ:うれしいね
―――4時間を超える公演。それぞれ印象に残ったシーンは
市川:メンバー同士が楽曲によっては、肩を組んだりするんですけど、どの曲でもそういう姿を見られて、いいチームだったなあと。コロナの影響でリハーサルが少なくて、ぶっつけ本番のようだったけど、このチームはできるんだと、見せつけることができました。
みひろ:授与式ですね。大久保さん、森本さん(番組MCのトンツカタン森本晋太郎)、初代の二人も来ていて。一人一人に(小木からの)言葉が違う。自分じゃなくてもぐっと来るし、もちろん自分への言葉にはもっと感動しました。本当に愛されているグループなんだなあ。
三上:ユニットメドレーで、オリジナルとは違うメンバーがやっているのに歴史を感じました。私は(ソロの)1曲だけでしたけれど、昔いたメンバーのことを思い出しました。誰々がいたなあ、誰々がこのユニットをやっていたなあって。初披露だったいっちー、うさもなも今日ならではですよね。
―――みひろは初代メンバーだったが途中で脱退。最年長新人として第2世代で途中加入した。授与式では小木から「初代の時はプライドが高くて途中で辞めたのに。最後までやり遂げた」とねぎらわれた。
みひろ:初代のころは25、26歳くらいでイケイケドンドン、私がナンバーワンだ、みたいな。周りも活躍している子ばかりで、負けたくない気持ちが強かった。気配りのできない子どもでしたね。第2世代に入って、みんなと過ごして、マッコイさん(グループ総監督、テレビプロデューサーのマッコイ斎藤)もいろいろなことを言ってくれました。相手を引き立てる人も必要で、それは捨て駒ではないと気づけました。優しくなれたと思います。ちょっとだけ。
―――三上は答辞で「話しにくかったかもしれないけど、後輩が話しかけてくれて内心うれしかった」と明かした。恵比寿マスカッツでは、コミュニケーションについて考えることがあったという。
三上:私は浮いている感じではないんですけど、なんとなく話しかけづらいと思う。自分から話しかけるタイプではないけれど、話しかけたくないわけじゃない。ゲッスー(吉澤友貴)は私と真逆な性格でコミュニケーションの取り方が上手。グループにそういう人がいると安心する。話しかけてもらったり、いじってもらえたり、松本ゆんちゃんが私の真似をしてくれたりとかは、すごくうれしかった。感情を出すのが得意ではない私にとって、マスカッツではメンバーにも恵まれていたなと思います。
―――市川は公演中、マッコイ斎藤から「なんといっても市川さん。沈没しそうな時、救っていただきました。こんな最高のリーダーはいない」とたたえられた。
市川:(当時は)ギクシャクしていたとかケンカや、仲が悪いとかはなかった。マスカッツは個で売れている子の集まりで、そもそも副業アイドルといわれていて、ひとりひとりの個が強すぎる。今みたいに平等になじんでなかった。そもそも話を聞いてくれる人がいなかったんですよ。誰かが悩んでいるときに寄り添う人とか、一つのことをやるよと言う時、みんなの話を聞いてくれる人がいなかった。スタッフさんとも今みたいな絆はなかった。私はメンバーの声を届ける人になると決めました。4年前、メンバーから「いっちーは架け橋になってくれる人」と言われて、そう望まれるならそうなりたい、架け橋になって、みんなをつないでいけるようになりたいと決めました。基本的には今回のライブもそうですし、何かやる時は私がスタッフ会議から参加して、メンバーに伝える役目、仲介人みたいな。それがあるだけで、お互いが安心できました。最後に歌った「7色ストーリー」は、メンバーで話し合って、アンケートをとった上でラストソングに決まりました。仲介しながら皆で一つのものを作るのが自分の役目かな。
みひろ:いっちーをリーダーに推薦したのは私なんです。第2世代に入って間もない頃、番組の対抗運動会が終わった後、いっちーから「疲れたでしょ、これ使って」と湿布を渡されました。そんなに仲が良かったわけでもないのに、何て気遣いができるんだろうと。そんな姿がけっこう目について、リーダーがいない状態がしばらく続いた時、マッコイさんに誰がいいと言われて、いっちーだと。他にリーダーっぽい人はいたんですけど、マスカッツはそういう人じゃなくて、いっちーみたいな人が合っているんじゃないのかな。いちーはしっかりしているようで全然していない。いっちーを皆で助けようという意味で一致団結、まとまるかなと思いました。本当に人柄ですね。
三上:いっちーは唯一の同期なんです。変なタイミングでふたりが入ったので。AVのデビューもその頃で、全部が新鮮なときに入らしてもらって。初日の楽屋が一緒。その日からずっと一緒にやってきたと思います。同期という絶対的な安心感が、リーダー以前にありました。いっちーがリーダーをやっていることが誇りでした。何をしてくれたというより、安心感を与えてくれて、最後まで一緒にいれて良かった。
―――みひろ、三上の言葉に涙目になった市川。ふたりへの感謝を口にした。
市川:マスカッツは山あり谷ありで挫折しそうな時もあった。同期の悠亜ちゃんゃんがどんどん前に言って、私は置いて行かれたけれど、追いつこうと頑張れた。悠亜ちゃんが背中を見せてくれたから、今こうして私が背中を見せられたのかなと感じていて。唯一の同期だからこそ、こうやって一緒に残って卒業できて良かったなあ。
―――みひろへの感謝も。
市川:みひろさんの推薦から、マッコイさんやスタッフさんが決めて下さったんですけど、私は事前に知らなくて、いきなりその日からリーダーになった。人の上に立ったことがなく、何をしていいのか分からず、リーダーって何だろうと悩んだ時期がありました。皆が思うような結果を残せなくて、激ヤセした時、(三上と同じで)みひろさんも自分から話すタイプでないけれど、たまたま二人になった時に、いっちー大丈夫?と聞いてくれて。癒しグッズで肌荒れ防止パックをくれたり、ごはんに連れて行ってくれたり。私がしんどそう、限界かなというのをいち早く察知してくれて、フォローしてくれました。
―――市川の言葉を受け、みひろが「恥ずかしいなあ」と照れれば、三上は「私は感謝されることは何もしていないよ」と謙そん。互いを思いやる気持ちが伝わってきた。この7年間の活動を、今後どのように生かしていくのか。市川は今年5月にAVを引退し、新たな活動を模索する。みひろは女優、タレントとして活躍中。三上はAVでの人気を保ちつつ、インフルエンサー、実業家の顔も持つ。
三上:私はいろんなお仕事をさせていただいて、その中でもマスカッツをやり切れた。学生の時から継続力が本当になくて、飽き性。アイドルも一回経験しているんですけど、納得できない終わり方だったことを後悔している部分があります。マスカッツは初めて継続できたもの。AVも自分が納得できるまでやり切りたい。過酷だったマスカッツを乗り越えられた。つらくて逃げ出したくなっても、続けられる力はついたかなあと思います。
みひろ:心残り、こうしていれば良かったというのがあれば、もう一度挑戦したいと考えるようになりました。「じゃり道」という曲の「逃げずに戻る道」という歌詞みたいに、逃げないで戻ってもいいんだな、って今回感じることができた。何事もとことんやって、やりきりたい。今後も頑張ります。
市川:AVを辞めるときに(占い師)Love Me Doさんに占っていただいた。「市川さんは会社をやった方がいい」と言われたんです。「4年後には水に関わる商品を売りさばくといい」とも。今後は自立していく意味でも、会社の経営をしてみたい。皆で助け合えるような会社をつくっていけたらなあ。
みひろと三上は「向いてそうだね」「めっちゃ平和でしたもん。怒らないから」と、市川の夢を支持。市川は「平和が一番だよね」と返した。大きな仕事をやり遂げた3人の顔に、笑みが広がった。