映画「ビーバップのおっさん」で清水宏次朗とW主演の白井光浩が激白!80年代の「元祖」にオマージュ

北村 泰介 北村 泰介
新作映画「ビーバップのおっさん」のチラシを手にする白井光浩。鍛えられた肉体でアクションシーンでも奮闘した=都内
新作映画「ビーバップのおっさん」のチラシを手にする白井光浩。鍛えられた肉体でアクションシーンでも奮闘した=都内

 昭和60年代(1985年-88年)に6作が製作され、当時の中高生らに支持された映画「ビー・バップ・ハイスクール」を覚えているだろうか。この夏、同シリーズにオマージュをささげた新作映画「ビーバップのおっさん」(旭正嗣監督)が24日から全国順次公開される。元祖シリーズで主役コンビの一人「ヒロシ」を演じた清水宏次朗(57)と、第2作の「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌」(86年)で敵役として強烈な個性を発揮した白井光浩(54)のダブル主演となる。白井が、よろず~ニュースの取材に対し、今作の背景や見どころを、ユーチューバーとしての活動に重ねて語った。

 当時18歳の白井が元祖シリーズで唯一出演した第2作では、愛德高校のヒロシ(清水)&トオル(仲村トオル)らを「ボンタン狩り」で攻めたてる「城東工業のテル」を熱演し、デビューを飾った。36年後となる新作の役柄は、亡き父が残した家業の町工場を営む中年男で、その名も「テル」。トラブルから工場を閉め、妻は愛娘を連れて家を出る。仕事と家庭を失い、日雇い労働者となったテルは、「解決屋」をシノギにしているというヒロシと再会して相棒になり、縁のできた商店街の人たちを困らせる半グレたちと戦う…というストーリーだ。

 怖いもの知らずの高校生も社会に出れば辛酸をなめる。生き別れた娘を思う父の心情を表現した白井は「脚本家が落語作家(今井ようじ氏)で、親子愛など落語の人情話の要素も含めている。『おっさんになってもまだまだやれるぞ』と、見た人から勇気や元気が出てくれば一番です」と語る。

 清水と白井のバディムービー(キャラの異なる2人組の活劇)でもある。清水は新作について「今回、久しぶりにテルと共演でき、青春を思い出しました」とコメントを寄せた。

 共演が実現した経緯について、白井は「僕から『ぜひ、清水宏次朗さんをキャスティングしてください』とお願いさせていただきました。那須博之監督(05年死去)とプロデューサー(黒澤満氏、18年死去)がお亡くなりになっていますし、今作は〝続編〟ではなく、元祖『ビー・バップ』を精一杯リスペクトさせていただいたオマージュ作品ということで、僕としては一つ夢がかなったところはありますね」と明かす。ちなみに、元祖版でテルの父役だった成田三樹夫さんのイラストが描かれた遺影が新作に登場。元ネタを知っている人は「テルが父親の跡を継いだんだな」と実感させられる。

 こうした元ネタは随所に登場。例えば、終盤の乱闘シーンでは、テルとトオルが対決した第2作のクライマックスでの必殺技が逆の立場で再現される。詳細は避けるが、そんな元ネタを確かめる楽しさもある。

 「ビー・バップ・ハイスクール」は〝東映魂〟を継承している。例えば、第2作の劇中で「北陸代理戦争」「暴動島根刑務所」「実録外伝 大阪電撃作戦」といった東映実録路線の傑作3本立てのポスターが掲げられた映画館前でヤンチャな高校生たちがたむろしているシーンがあったように…。新作でも「仁義なき戦い」での菅原文太さん演じる広能昌三の名セリフが金言として引用される。

 白井は「『ビー・バップ』自体も『仁義なき-』へのオマージュ的なところがありますからね」と指摘。その上で、3年前から始めた自身のユーチューブ「テルチャンネル」に込めた思いを明かした。

 「シリーズ全作に出演している(舎弟のノブオ役)古川勉さん、(巨漢の)大前均太郎役だった上野隆彦さんにも出ていただいたりしながら、『ビー・バップ』のロケ地巡りをしています。『仁義なき戦い』のロケ地巡りは亡くなられた出演者の方が多くて現実には難しい。『ビー・バップ・ハイスクール』という、東映を立て直したくらいに売れた映画の出演者たちやロケ地を映像として残しておきたというのは一つのテーマです。今回『テルチャンネル』発信で、映画のメイキング映像を撮りました」

 ファンの注目度は高く、24日に東京・渋谷で開催されるイベントはチケット完売。8月11日には大阪・朝日生命ホールで旭監督、白井、清水をはじめ、古川さんら〝OB〟をゲストに迎えたプレミア上映とトークイベント〝大阪夏の陣〟を開催する。

 80年代のツッパリ用語に「シャバ僧(ぞう)」という言葉があった。イキがっていても、逆境で弱腰になる根性なし…というニュアンスのフレーズで、元祖シリーズで飛び交ったものだが、新作でもオマージュを込めて随所に登場する。白井は「この映画に関しては、今まで培ってきた演技や人生観ですとか、そういうものを全部出させていただいて、役者として一回り大きくさせていただきました」と、今も現役の「シャバ僧」たちに向けて謙虚にアピールした。

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