続々と登場する筋肉隆々のマッチョマンや、ゲイの男性たちを巧みに物語に取り入れ、笑いに満ちた4コマ作品に仕立ててしまうのが、漫画家の松本ゆうすさん(@youth_matsu)。
現在、漫画サイト「リイドカフェ」のほか、LGBTカルチャーを発信するライフスタイルマガジン「new TOKYO」でも連載を持つ松本さんは、つい最近まで“異質”と思われてきたゲイの方々をさりげないタッチで取り入れた漫画を手掛け、今や腐女子や同性愛者の方々から熱狂的な支持を受けている。松本さんは、いかにして漫画家となり、そうした独自のポジションを築くことができたのだろうか。
自暴自棄な生活から生まれた、腐女子熱狂漫画
どこまでも笑いを追い求め、果たし無いバカバカしさが魅力の松本さんが、漫画を描くようになったのは意外にも切実な理由からだった。「当時、ブラック企業から逃げるように退職し、半ば自暴自棄な生活を送っていました。持て余した暇を潰すために細々と使っていたTwitterに、落書きみたいな4コマを描いて載せていたのが、創作のきっかけです」
ブラック企業での辛い経験を払拭するように、Twitterに作品を掲載していく中で、とある作品が大きな注目を集めることになる。「何気なく描いた、乙女ゲーを題材にした漫画が、意外にも腐女子や同性愛者の方々から大きな反響を得ました。それが理由で『リイドカフェ』の編集の方からもお声がけいただき、連載がはじまりました」。そして、松本さんは、腐女子やゲイの方々に喜んでもらえるような作品づくりに力を入れていく。
“男性のシモネタ”を扱い露骨なフレーズや描写があっても、なぜか下品にならず、思わず笑ってしまう松本さんの作品。そんな褒め言葉としての“バカバカしい”という形容詞がよく似合う作品群の中から、印象に残った自身の4コマ作品を教えていただいた。「あれこれ描いていて自分でもちゃんと把握しきれないのが正直なところですが、最近で言えば『汚』というタイトルの4コマはよくできたと思っています。あと、なぜか言語の壁を乗り越えた海外のフォロワーさんもチラホラいるので『VS』のように、台詞がなくても分かる4コマが思い付いた時には、少しは楽しんでもらえる作品を描けたかなと思っています」
最後に、今後の目標をたずねると、驚くほど謙虚な言葉が返ってきた。「自分にこれから先、どんなことができるのかはよくわかりませんが、逆に今できている事ができなくならないようしっかり続けていきたいです」。笑いという表現を使いながら、分け隔てなく、さまざまな立場や趣向の人々を平等に描く松本さんは、これからどのような漫画を生み出していくのか。期待を込めながら見守り続けたい。
■■松本ゆうすさん情報
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