「実在忍者」の地域おこしが各地で続出 御城印の次は『御忍印ブーム』がやってくる!?

佐藤 強志 佐藤 強志
九州忍者 御忍印
九州忍者 御忍印

 忍者といえば、伊賀と甲賀を思い出す方も多いのでは。今、それ以外の各地でも、忍者で地元を元気にしようという地域起こしが盛んになってきている。

 昨年11月、青森大学の清川繁人教授が「地元の弘前藩にいた実在忍者」をもとに執筆した「弘前にんじゃ昔ばなし」が発刊された。江戸時代、弘前藩にいた杉山八兵衛が密命を受けて蝦夷(北海道)へ渡り、松前藩とアイヌ間の揉め事を探索し、藩や幕府へ報告した歴史が分かりやすく絵本化されている。他にも地元忍者の服部康成、中川小隼人の話が掲載される。絵本は弘前市内の小学校33校と青森市内の幼稚園と保育園約50カ所にまで現在は配布された。

 また、島根県松江市では同市観光協会が「松江藩の忍者」という書籍を昨年末に編集発行した。本には、松江藩忍者と松江城下の地元が楽しく紹介されている。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など権力者の歴史と違い、実在した忍者の歴史はいわば庶民の歴史にちかい。かつて地元にいた優秀な忍者の歴史や物語は、地元の子供たちの郷土愛を育んでいるようだ。

 群馬県東吾妻町では、昨年12月に「御城印」ならぬ「御忍印」が発売されて話題を呼んでいる。群馬県東吾妻町には、戦国時代、真田忍者と呼ばれる忍びがいた。その中の一人、真田昌幸の家臣・横谷左近は、吾妻地域の地侍で雁ケ沢城を拠点としていた。関ヶ原の合戦前の「犬伏の別れ」で、現在の栃木県佐野市から長野県上田市まで、真田昌幸、信繁親子を左近は忍び働きで無事に帰還させた。

 そんな横谷左近を顕彰する「横谷左近 御忍印」は和紙に印刷され、東吾妻町「道の駅あがつま峡」で発売され、雁ケ沢城御城印と共に人気を呼んでいる。しかし描かれた左近の姿は従来イメージの黒装束忍者ではない。横谷左近は、忍者の顔を持つ昌幸家臣であり、武士だったので九曜紋の兜をかぶる武士がイメージ絵として描かれている。東吾妻町では今月、地元住民らによって横谷氏館跡の整備を行われる等、忍者熱が盛り上がってきている。

 来月3月6日に佐賀県嬉野市では、新たに実在忍者4名の「御忍印」が、うれしの忍者フェスタで頒布される。歴史上実在した忍者の名が載る「御忍印」は、日本忍者御忍印委員会による造語で「おしのびいん」や「ごにんいん」と呼ぶ。委員会は、忍者研究の第一人者・山田雄司教授(三重大)と清川繁人教授(青森大)が顧問を務め、歴史検証をし監修を行なっている。今後、御忍印は全国各地で発売される。

 実在した忍者の物語を求めて、全国各地を旅行する忍者ファン達がアフターコロナにはアチコチで現れるかもしれない。

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