2月20日に亡くなった歌手で俳優の西郷輝彦さん(享年75)が主演した伝説のドラマ「ジグザグブルース」(テレビ朝日系、1977年4月~7月放送)をご存じだろうか。お笑い芸人、プロレスラー、特撮キャラクター収集家などマルチに活動するなべやかん(51)にとって、父・なべおさみ(82)が西郷さんと共演した縁のある作品でもある。西郷さんが歌った主題歌のレコードが父へのメッセージ付きで贈られてきた秘話や、高級腕時計にまつわるエピソードと共に追悼した。
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西郷輝彦さんが亡くなられた。自分は西郷さんとお仕事でご一緒する事はなかったが、子供の頃から西郷さんの存在は強大だった。というのは子供の頃に父・なべおさみのスケジュール帳を見ると「どてらい男(ヤツ)」と書かれている事が多く、家で「どてらい男」の台本を頻繁に見かける事があったからだ。
亡くなられたニュースを聞き、父・おさみに西郷さんの事を尋ねると「明るくて屈託のない人だったな」と言っていた。画面やスクリーンを通してもそんな感じは伝わって来る。父・おさみは『どてらい男』の後、西郷さん主演の『ジグザグブルース』(テレ朝、東映)に出演した。
残念な事に『ジグザクブルース』は短命で終わってしまった。その時、西郷さんがドラマの主題歌とエンディング曲を歌ったレコードを父にくれた。そこには西郷さんの手書きで「なべちゃん、残念な作品でした。でもいつか ね」と書かれている。(空白の部分がわからない…)
現在、このレコードは昭和歌謡レコードコレクターのDJ・革パンに託した。良い物は価値がわかるコレクターに保存保管してもらうのが一番良い。
西郷さんの思い出を父・おさみに聞いてみると、時計の話をしてくれた。
昭和50年頃、アメリカ・オメガの社長に父が会った時、3本の腕時計を持って来ていて「どなたか買いませんか?」と聞かれたのだ。金ブレスレットの超豪華な腕時計。自分で買える値段ではなかったので西郷さんに腕時計の話をしてみると「俺が買う」と言って購入された。残り2本。どうせならと思った父は御三家の橋幸夫さんと舟木一夫さんにも金ブレスレット腕時計の話をするとお二人も購入した。御三家がそろって金ブレスレット腕時計を付ける。当時は腕時計がステータスな時代だったから、この時計が成功者の証になっていたのかもしれない。
昭和のスターがまた一人消えてしまった。子供の頃から我々を楽しませてくれていた人がいなくなるのは本当に寂しい。故人の思い出話をする事、話題に出す事が供養になる。お会いした事はないが、存在だけは子供の頃からずっと大きかった西郷さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。