東京都は今月15日からスギ花粉の飛散開始を確認したと発表し、都内での“正式”な花粉症シーズンが始まった。そんな中、社員の多くが都内在住というアイザック株式会社(本社・東京都目黒区)は「花粉症による従業員の生産性低下を防止する」ため、避暑地ならぬ“避花粉地”での宿泊費を最大20万円補助する福利厚生制度「Tropical Escape」を導入し、注目を集めている。
約50名の全正社員を対象に、花粉の飛散が少ない地域に宿泊する費用を補助する制度。1泊あたり3000円、最大で20万円(約2カ月分)を支給する。“太っ腹”な制度で会社の財政を圧迫するかと思いきや、同社の共同創業者・播口友紀氏は「全然余裕です。むしろ使ってほしい」と力を込めた。
「鼻をかんでいるだけで1日が終わってしまう。かなり仕事に支障が出る」と、花粉症に悩まされていた播口氏。花粉の飛散時期に東京を離れ、スギ花粉が少ないとされるハワイや沖縄で仕事をする生活を過去5年間続けていたという。
2019年には、花粉から逃れるため、会社としてハワイに期間限定の事業拠点を設けたこともあった。花粉が少ない地域では「普通に、普通の生活ができる」といい、これまでの経験をもとに今回の制度を作った。
社内発表から間もないうちに3件の申請があり、最終的に15~20名が利用する見込みだという。申請した3名は、沖縄県に4日~2週間宿泊する。同社はコロナ禍の以前からフルリモートの勤務体制をとっているため、遠方に滞在しても業務に支障はないという。
「長時間働くより長期間働いてもらいたい」と、 部署ごとのワーケーションに費用を補助するなど福利厚生に力を入れている。今後は週3日勤務も可能なフルフレックス制度の導入も検討しているという。