大阪梅田のはずれ、古着屋や古民家を改装したカフェなどが集まるオシャレな街、中崎町。路地を散歩しながら面白いお店を見つけるのがこの街の醍醐味の一つだが、突然現れるオバケのQ太郎の乗り物と「エレメカ研究所」の看板に驚いてしまった。店内は昭和に活躍した懐かしいゲーム機が40台も集まっているそう。
しかもゲームセンターではなく、研究所だという。一体どういう場所なのか?店主である王さんにお話を聞いてきた。
――この研究所を始められたきっかけは?
王:最初は大阪第二ビルの地下で「ZERO」という現行のゲーム台中心のゲームセンターを経営していたんです。レトロゲームは入り口に数台あった程度でした。しかし周囲が居酒屋ばかりになってしまって、2年ほど前に閉店したんですよ。現行のゲーム台は処分するのに抵抗なかったのですが、古いものは売るのが惜しくて…倉庫にもありましたしね。そこでレトロゲーム研究所として、文の里でエレメカ研究所の営業を始めました。でも私はこの辺で育って子供の頃から梅田で遊んでたので、地元に戻ってきたい気持ちがあったんですよ。この物件を見つけて、即契約しました。
――レトロゲームはどうやって集めてるんですか?
王:詳しくは内緒ですが(笑)。廃業したゲームセンターや専門に取り扱う市場で買い集めてます。
――このショベルカーのゲームは木製で「5¢」と書いてますね。
王:これが1番貴重かもしれないですね!アメリカで誕生して日本に輸入された物なんですけど、ショベルカーがぐるっと回って、落ちてるメダルを拾うんです。止まる位置がランダムなので難しいんですが、UFOキャッチャーの元祖だと言われてます。
――確かに日本のゲームセンターのUFOキャッチャーも、昔はワイヤーのクレーンがブラブラ揺れてた気がします。取れたことないですね…。1番人気のあるゲームはどれですか?
王:このボールを弾く「ジャンピングラリー」ですかね。メダルを入れると玉が1個出てくるんですが、1回弾いて終わりではなくて、何番のかごに入れるかのスゴロクになってます。何度もやればコツが分かって、コントロールできるようになってくるんですよ。コイン1枚で長く遊べる。昔のゲームは優しい中に厳しさがあるのがいいですね。これは第二ビル時代から一番の稼ぎ頭でした。
――では、王さんが個人的に一番好き、イチオシなのはどれですか?
王:このサーカスみたいな「ジャンボ」というゲームですね!長野まで買いに行ったんですよ。1969年製でSEGAが作ってるんです。真ん中の像の鼻が掃除機になってて、ボールを吸い込み、レバーで像の鼻を操作して客席の穴に放り入れるんです。像の鼻やワイヤーが繊細で乱暴に扱うとすぐ壊れてしまうので、販売当時の象がそのまま残っているこの機体は滅多に無いんじゃないですかね。
――今見てもポップでカワイイ!象の目もリアルで本物みたいですね。古いものはどれですか?
王:この昭和の女優たちをあしらったパチンコも駅前ビルの時から人気ありました。「有名女優」って書いてるんですけど、必殺仕事人シリーズに出てた大女優の山田五十鈴さん、小津安二郎監督の映画に出演してた高峰秀子さんとかが入ってます。でもブロマイドが差し込まれてるだけなんで、今流行りのBTSとかにも入れ替えられるんですよ(笑)。
――是非そのまま残してください…!!
◇ ◇
店内には、一斉を風靡した国盗り合戦や、ウルトラマンのシューティングの他にも、王さん自作のゲームや仕掛けが所狭しと並ぶ。
全て貴重なものなので丁寧に遊んでいただきたいとのこと。現在の電子音が鳴り響くゲームセンターとは違い、静かでコツンコツンと玉がピンを弾く音が響く。昔は少し怖かったゲームセンターが、大阪の真ん中で優しく大人になった私達を待っている。
エレメカ研究所
住所:大阪市北区中崎西1-6-36サクラビル一階
定休日はTwitterで確認:https://twitter.com/elemecalabo?s=20