ファイナルファンタジーシリーズ「FINAL FANTASY Ⅶ(FF7)」のスマートフォン向けゲーム「FINAL FANTASY Ⅶ THE FIRST SOLDIER」が、17日午後5時にサービスが開始された。時代を超えて支持を集め、映画など多数のスピンオフ作品化されたFF7が、シリーズ初のバトルロイヤルアクションで表現したいこととは。プロデューサーの市川翔一氏に話を聞いた。
目指したのは「RPGとアクションの融合」だ。都市ミッドガルを舞台に銃・剣・魔法を用い、プレイヤーは生き残りをかけた戦いを繰り広げる。お馴染みの大迫力の召喚獣やかわいらしいチョコボも登場。FF作品の新たな楽しみ方の提供を試みた。「ファンの方が慣れ親しんできたFF7の世界観、システムを大きく崩すことなく、バトルロイヤルという全く操作感の異なるジャンルに挑戦しました」と説明した。
FF7から20数年前を舞台に、その30年前に発足した優秀な兵士を作り出す「ソルジャー計画:プロジェクト0」のもと、プレイヤーたちは志願兵として戦場に身を投じる。昨年4月に発売された「FINAL FANTASY VII REMAKE」の映像・音楽が一部使用されるなど、正統なコンピレーション作品として製作された。
バトルロイヤルアクション(バトロワ)では銃で戦うイメージが一般的だが、同作では、剣も武器に使用できる。それに伴い「銃と近接のバランス」に最も苦労したという。「現実でも『銃は剣よりも強し』という言葉がありますが、いかに剣で銃に肉薄するか、というのに苦心しました。もちろん、バランスを偏らせればいくらでも剣を強くすることはできますが、このリアルな戦闘表現の中でしっかりと剣の価値を生み出すということにこだわりました。結果としては、各攻撃の適正範囲や連続攻撃上限数を意識することでそれぞれの攻撃を生かすことができるようになりました」と振り返った。
マップの構築もこだわりがある。RPG用として製作された「FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE」のロケーションをバトロワ用にカスタマイズ。その際はPS4用のフルスペックを使って制作されたクオリティーを、モバイルのスペックに落とし込む工夫が必要だった。「特に7番スラムや5番スラムはスラム独特のごちゃごちゃした雰囲気を出したいとは思いつつも、真正面から制作してしまうとすぐに描画負荷や容量の問題に直面してしまうため、モデル1つ、テクスチャ1枚から負荷を考慮しました」。バトロワでは、弾から身を隠すための遮蔽物などオブジェクトの配置も重要視される。「例えばスラムの入り組んだ雰囲気を出すためにあえて建物をずらして配置したり、目線が抜ける場所に障害物を置いたりと視界に入る情報量を増やすことでまるでスラムの雑踏の中に迷い込んだような雰囲気を感じられるようにしております」と胸を張った。
1997年の発売から24年が経過した今も多くの人に愛され続けているFF7。プレイヤー層は幅広い年代が予想される。また、「Apex Legends」「FORTNITE」など現在人気のバトロワゲームでは、プロゲーマーが存在し、動画配信サイトで大会の様子が放映されるなど、競技性の高さが魅力の一つだ。こういったさまざまな要素を考慮し、いわゆる”ガチ勢”と”カジュアル勢”両方のプレイヤーが楽しめるよう、開発に取り組んだ。「勝利を求める方に対してはしっかりとした競技性のゲームとして開発をしております。ランクマッチや業績の解放など、高みを目指して腕を競い合っていただきたいです。一方でモンスターから入手できるデータピース交換やギル収集など『集める』楽しさをもう一つの楽しみと置いております。皆さまのペースでぜひお楽しみいただければ幸いです」と呼びかけた。