バズる究極のミニチュア 人間と同じこびとの世界! アートワーク展「ちいさなひみつのせかい」

ゆきほ ゆきほ

2015年頃、Twitterである男子高校生の部屋の画像がバズっていた。本棚に入りきらない本が床にはみ出し、小学校入学と同時に買ってもらったであろう机の上は文房具や学校でもらったプリントなどであふれかえっていた。普通の男子高校生らしい、お世辞でもオシャレとも綺麗とも言えない部屋だったが、なぜバズったのか。なんとそれらは全てミニチュアで、重箱ほどの大きさの空間に全てが収まっていたのだ。

制作したのはMOZUさん。その後、発表した作品全てがバズり続け、今やTwitterのフォロワーは25万人以上、Youtubeチャンネル登録者数は約40万人。今回、大丸梅田店で大規模アートワーク展「ちいさなひみつのせかい」が開催されるので取材した。

 

まずは冒頭でふれた作品。こちらは高校2年生の自室だそうだ。壁には学校のプリントなどがびっしり。ユニクロの袋はシンプルで丈夫なので、着替えなどを入れるサブバッグとして常用してしまう高校生”あるある”がエモい。

 比較対象にボールペンを持ってみた。いかに精巧で作り込まれているかお分かりいただけるだろうか。ディスプレイ棚も最初は綺麗に整えるが、物が増えすぎで崩壊すると、もう片付ける気は起きないんですよね…。チラシの処分も面倒で部屋の隅に積まれていく気持ち、完全に分かる。

 

次はゴミ捨て場。愛用された歴史の見える黄ばんだ冷蔵庫。西友のお墨付き牛乳パックを袋に入れないまま捨てた人!だめですよ!ビニール傘のミニチュアは、私が持っている全てのビニール傘と同じように先端の内側がカビで黒ずんでいた。雨上がりにちゃんと干さないからだ…。

 

こちらがサイズ比較。「実物を見たらどうやって作っているのか分かりそう!」と思ったが、どれだけ目を凝らしても何をどうやって作っているのか想像できない。ただとてつもない根気に圧倒される。

 

卒業時に制作した、高校の教室をそのままミニチュアにした作品は、先生や友人から「絶対無理だからやめておけ」と言われたそう。1台作るにも大変そうな机が34台も並んでいる。しかも、それぞれが少しずつ違う。「天板が真っ黒だったり、ガタつく”ハズレの机”ってあったよな。箱ティッシュ持ってきている友人に何度も助けられたこともあった」など、この作品を見なければ完全に忘れていた学生時代の記憶がどんどん蘇る。なおMOZUさんの席は一番後ろ。1mmほどのアロンアルファとミニチュアの設計図が置かれていた。

 

今回の展示会の目玉は「こびとの世界」

「こびとの世界」と聞くとファンタジックで可愛いイメージが沸くが、MOZUさんが思い描くこびとは私たち人間と同じ。夜中カップラーメンを食べ、雑誌の整理整頓を面倒臭がり、ゴミ出しの日が覚えられない。シンプルで丁寧な暮らしができるのは、ほんの一握りの人間だけ。ほとんどの人間と、こびとたちは、段ボールの片付けが億劫で悩んでいるのかもしれない。

こびとの小さい足では家の中を移動するにも大変だろう、ということから駅も作られている。冷蔵庫前から台所やリビングまで線路は続いているようだ。ちょうど電車も到着しているのでICカードを出してみたが、もうICカードがデカ過ぎるようにしか見えない。

こびとの部屋はコンセントの裏。スチールラックを利用してパソコンを収納し、ゲームをしながらパソコンで作業もしている。机にはミントのボトルガムも。溜まった仕事が終わらず、目を覚ますために噛んでいるのかもしれない。こびとの社会も厳しそうだ。

裏側では、パソコンサーバーの光を点灯させるための工事が行われていた。なにごとも安全第一。

 ◆MOZU ARTWORK 「ちいさなひみつのせかい」

大丸ミュージアム(大丸梅田店15階)8月11日~8月30日

入場時間:午後10時~午後7時30分(混雑の場合入場制限あり)

最終日は午後5時30分まで(6時閉場)

入場料(税込):一般1,300円/高校・大学生900円/小・中学生700円

「ちいさなひみつのせかい」HP:https://mozu-exhibition.com/

名古屋、新潟巡回予定

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