関西大学生活協同組合(関大生協)が、授業がある平日に関大生向けに提供している「100円朝食」の販売数が、米価格の高騰を受け増加している。関西大によると、2024年度の100円朝食販売数は1日平均165食だったが、“令和の米騒動”がクローズアップされた25年5月は平均約197食と急増。米がスーパーなどに並び始めた6月は約181食となった。
関大生協では、学生向けに15年度から100円朝食、20年度から100円夕食を実施。関大生の父母で組織する教育後援会と卒業生組織の校友会の資金援助もあり、1食あたり450円以上かかる経費の差額を負担し、学生に100円で朝食、夕食を提供している。
100円朝食の販売数は2024年度で年間約2万4000食、100円夕食は約1万8000食に上るという。
大阪府吹田市の関西大千里山キャンパスを取材した際の100円朝食メニューは、ハンバーグトマトソース、白身フライ、切り干し大根煮、冷ややっこ、ライス、みそ汁。よく利用するという下宿生の男子大学院生(23)は「週に3回以上、多いときは毎日利用している。一人暮らししているので、100円でこれだけの量食べられるのはありがたい」と手を合わせていた。
米価格高騰の影響をもろに受けているといい「高いからお米を食べる機会が減って、より一層この100円朝食がありがたく感じる。米が全然買えてない。スーパーで売ってないことがほとんどだし、仮にあったとしてもめちゃくちゃ高いから『やめとこう』という感じ」と、苦学生ライフを語った。
関大生協は4月1日、生協内での掲示やSNSを通じて「今期のご飯の値上げは行わないとし、差額は関大生協で全て負担致します」と、生協が差額を負担してライスの値段を据え置くと宣言した。学生生活を考えての決断で、大ライスは米の高騰分を価格に転嫁した場合340円(組合員価格)になるが、230円(同)のまま提供している。
4月当時、米10キロが8000円を超えた。あらゆる方面に声がけをし、半年分の30㌧を確保したが、米の仕入れ価格は昨年同時期の2.6倍に。差額の負担額は、年間1000万円ほどになると予測。“赤字”を少しでも補填するため、学生に食堂の積極的な利用を訴えた。
関大生協飲食サービス事業部GMの尾形恒さん(61)は「(業者からの価格は)2カ月ごとに見直すんですが、実際には2カ月ごとの見直しっていうのが行われていないのが現実。そのままの価格で維持されている。春先は8000円ちょっとで、2カ月ごとの見直しでちょっとずつでも下がっていくであろうということで予算を運用していましたから、価格が維持されてくるとなると負担額は膨らんでくる」と、米の価格は高止まりしているという。
6月はやや落ち着いたものの、100円朝食の利用者数のみならず食堂利用者も増加しているという。「米の価格とか、そういった要因はあるのかなと。100円朝食だけに関わらず、食堂の利用もどんどんもっと使ってほしいというようなことをアピールしていますから、それも含めて増えては来ているのかなと思います。4月5月っていうのは、お米がまったく買えないというような状況が続いてましたから。6月に入って、スーパー等でもお米を置き出している。そういった要因は、この春先に関してはあると思います」。米高騰の影響に加え、関大生協の訴えも奏功しているようだ。