芸能界デビュー40周年を迎えた渡辺満里奈、45年前に放送されたテレビドラマで“天才子役”として注目された長谷川真弓、今年で作家デビュー20周年となる中江有里による初の朗読劇「愛に似ている」が10月3日と4日の両日、都内の「MAMEHICO銀座」で開催される。中江の書き下ろし作品を渡辺と長谷川が朗読し、アコーディオン奏者・田ノ岡三郎の演奏が言葉に寄り添う。本番を前に都内で行われたリハーサルで、それぞれの思いを聞いた。
渡辺と長谷川は同じ1970年生まれで、3歳下の中江を含め、日頃から親交の深い友人同士。渡辺は86年3月に女性アイドルグループ「おニャン子クラブ」のメンバーとしてデビュー。その後もソロ歌手、女優、タレントとしてマルチに活躍する。長谷川は小学6年生だった82年放送のNHKドラマ「太陽の子~てだのふあ」で主演し、堂々の演技で話題に。中江は89年にデビューし、女優、歌手として活動しながら、2006年に小説「結婚写真」で作家デビュー。現在まで精力的に執筆を続けている。
渡辺と長谷川は90年放送のTBS系ドラマ「予備校ブギ」で出会って以来、36年の付き合い。子育てから手が離れた最近は食事などで行動を共にすることも増えたという。中江とは、長谷川が共通の友人を通して約1年半前に、渡辺は1年前に長谷川と共に参加した懇親会で出会った。
「野球好き」という共通点から、ソフトバンクファンの長谷川は筋金入りの阪神ファンである中江と今年8月に神宮球場で猛虎ファンの熱気を体感すべく共に観戦。中江について「品行方正なイメージで、こんなに“関西女子”だとは思ってなかった。(互いの友人で大阪出身の女優)魏涼子ちゃんと話す時の中江さんは関西弁でガーッとしゃべって、すぐボケる」と指摘すると、中江は「どんな括りですか(笑)。私が品行方正じゃないってことですか!」とツッコみ、渡辺は「品行方正だよ。マジメ。(最年少だが)一番、堂々としている」とフォローした。
そんな3人で何か表現できることはないかという話になり、今年8月9日に都内で上演された舞台「ナガサキの郵便配達・朗読と音楽の集い」に長谷川と中江が出演したことも背景に、朗読劇に取り組むことになった。中江は「長年の友人関係であるお二人だけで語り合えるキャラクターを考えて『コミュニケーションAIと人間』という関係を設定しました」と説明した。
都内で行われたリハーサルでは、渡辺と長谷川に中江がアドバイスを送る場面もあり、演出家としての役割も感じさせた。田ノ岡が奏でる音色も物語の行間で雄弁な言葉となっていた。
中江は「音楽も語り部として、もう1人の出演者である。朗読劇は動きがないので、唯一、動く存在として『可動域の広い音楽』がいいと思い、お願いしました。アコーディオンの音色は温かみがあり、呼吸している感じ。息づかいがあるというか」と相乗効果を実感し、田ノ岡は「僕も台本を読ませていただいてすごくワクワクしました。お二人の言葉と音色で物語をつむいでいけることが本当にうれしいです」と意気に感じた。
公演両日とも昼夜のステージで渡辺と長谷川が役柄交換(ロール・スワップ)する。渡辺は「AIとの対話を通して自分自身を見つめる…みたいなところがテーマとしてあるんじゃないかと思うので、人間味のある、そういう世界を楽しんでいただけたら。AIと漢字の『愛』(ローマ字でAI)がかかっているのはすごいと思います」、長谷川は「AIなんだけど、やっぱり人として付き合う、つながっていくということが感じられて、それは素敵だなと思いました」と作品を語った。
中江は「今、コミュニケーションAIが必要とされているのは、みんな孤独だからなんだろうなと。自分のことを理解して欲しい、容認して欲しいという思いが強く、不安が大きいんだと思います。とはいえ、私たちの世界ではAIとだけ付き合っていくわけにもいかず、人間と付き合うわけで、全部、分かり合えなくてもいい。半分くらい分かっていれば…くらいの感じでいければ」と作品の背景を示唆。渡辺と長谷川について「すごく人間としての魅力がある。それは『完璧じゃない魅力』です(笑)。素敵なんだけど、完璧じゃない。それがいい。そういうものが伝わればいいかな」と笑顔で手応えを示した。
長谷川は「全集中で頑張りたい」、渡辺「私はこの3人と田ノ岡さんで朗読劇が実現したことがすごくうれしくて、本番を迎えるのをとても楽しみにしていますし、多くの人に見てもらいたい」、田ノ岡は「深い余韻の残る作品」と意欲的。中江は「私たちもお客さんもドキドキするくらいの距離感でやるんですけど、ある意味、ぜいたくな時間で、しかも(2日間で)4回しかやらないという…。次、どうなるかは分かりません。二度と観れないかもしれません。今回の結果次第です」と締めくくった。