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手料理をご近所さんにおすそ分け→まさかの食中毒→治療費を請求されたら払わないとダメ?【弁護士が解説】

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手作りの料理を「良かれと思って」ご近所にお裾分けしたところ、相手が食中毒を起こしてしまった…。善意でおこなった行為であるにもかかわらず、「治療費や慰謝料を支払ってほしい」と請求されるとパニックになってしまうだろう。

では無償のお裾分けであっても、食中毒を出してしまった場合に法的な賠償責任や罰則は生じるのだろうか。万が一のトラブルへの備えや法的リスクについて、まこと法律事務所の北村真一さんに話を聞いた。

ー善意のお裾分けでも、食中毒を起こしたら賠償責任が生じますか?

無償の善意であっても、過失があれば不法行為(民法709条)に基づき損害賠償責任が発生します。調理時の衛生管理や加熱処理を怠った、痛んでいる材料を使用したなどの過失により食中毒を引き起こした場合、善意や無償であることは免責の理由になりません。

相手方が負担した医療費(治療費・薬代)、通院交通費、休業損害、精神的苦痛に対する慰謝料などを賠償する義務が生じます。日常のお裾分けであっても、他人に食品を提供する以上は適切な衛生上の注意を払う法的な責任が伴います。

ー業務上過失致傷罪など、刑事罰に問われる可能性はありますか?

刑事上の責任に問われる可能性はあります。個人が家庭で無償提供した場合、通常は「業務」にあたらないため、過失により人に損害を与えたとして過失致傷罪(刑法209条、30万円以下の罰金又は科料)が検討されます。

ただし、調理において著しい衛生管理の怠慢や危険性の放置があったと認められれば重過失致傷罪(刑法211条後段、5年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金)が適用される恐れもあります。善意であっても、相手の健康を著しく害した場合は刑事罰の対象となり得る点に注意が必要です。

ー無償のお裾分けに「製造物責任法(PL法)」は適用されますか?

PL法(製造物責任法)は適用されません。PL法が対象とする「製造業者等」とは、製品を「業として(ビジネスとして)」製造・加工・販売した者を指します。家庭で個人が無償でお裾分けとして手作りした料理は「業として」の提供にあたらないため、同法の対象外となります。

そのため、被害者側が損害賠償を請求する場合は、PL法上の欠陥責任ではなく、加害者側に衛生管理上の落ち度や不注意(過失)があったことを立証した上で、民法上の不法行為責任を追及することになります。

ー万が一に備えて、個人の賠償責任保険などで補償することは可能ですか?

補償される可能性が高いです。火災保険、自動車保険、クレジットカードなどに付帯している「個人賠償責任保険(特約)」は、日常生活における事故で他人の身体に害を与えたり財物を壊したりして法的賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。

手作り料理のお裾分けによる食中毒事故も、日常生活上の過失事故として補償対象に含まれるのが一般的です。ただし、故意に傷んだ料理を提供した場合や、保険契約の除外事由に該当する場合は対象外となるため、加入している保険約款の確認が必要です。

●北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
大阪府茨木市出身の人気ゆるふわ弁護士。「きたべん」の愛称で親しまれており、恋愛問題からM&Aまで幅広く相談対応が可能。

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