日本保守党代表で参院議員の百田尚樹氏が8日までに自身のX(旧ツイッター)に新規投稿。広島市の原爆死没者慰霊碑(公式名・広島平和都市記念碑)の碑文「過ちは繰り返しませぬから」という一文の主語を巡って様々な意見があったことを受け、自身の見解を綴った。
百田氏は7日深夜に更新したXで「石碑の中にある『過ちは繰り返しません』という文章の主語は『人類』だという主張があるが、もしイスラエルでアウシュビッツの石碑があったとして、そこに人類が主語の『過ちは繰り返しません』という文章があったと仮定してみたらどうだろう。あるいはNYの貿易センタービル跡地に同じ文章があったとしたらどうだろう。おそらくユダヤ人もアメリカ人も、『なんでナチスやテロリストたちの罪を人類が背負わなくてはならないのだ!』と怒るのではないか。」と問題提起した。
その上で、同氏は「当たり前のことを言っておくが、原爆を投下したのはアメリカ合衆国である。その罪を人類全体が背負うことはないし、まして被害者となった日本人が背負う必要などどこにもない!人類が主語というのは後付けの牽強付会(こじつけ)の最たるものだ。『過ちは繰り返しません』という言葉は、実は自虐史観と偽善から生まれた言葉である。『私たちが誤った戦争をしたことで原爆投下になってしまいました。ごめんなさい』 という趣旨で書かれた文章なのだ。」と持論を展開し、「この碑文を見て違和感を覚えるか否かは、自虐史観に染まっているかのリトマス試験紙となる。」と指摘した。
百田氏は8日午後に更新したXでも「★お願い★」として、同ポストの拡散を呼び掛け、「1人でも多くの人に読んでもらいたいポストです。」と付け加えた。
百田氏の投稿に対してXユーザーからは「原爆を投下したのは米国だから、せめて『過ちは繰返させませんから』とすべきなのでは?と毎年思う」「なぜ、核兵器を使われた側が反省をしないといけないのでしょうか?」といった同意の声や、「世界中で起きる戦争に直接的ではないにしろ誰しもが間接的に関わっていて、そこに無関心でいることに本質的な問題があるのであれば、アウシュビッツも911テロも遠因は全人類にあるという見方もアリかもしれない」「日本が戦争を後悔し反省し、今後繰り返さない事への宣言は素晴らしい事かと」などの指摘もあった。
広島市公式ウェブサイトによると、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という碑文は「すべての人びとが原爆犠牲者の冥福を祈り、戦争という過ちを再び繰り返さないことを誓う言葉であり、過去の悲しみに耐え、憎しみを乗り越えて、全人類の共存と繁栄を願い、真の世界平和の実現を祈念する『ヒロシマの心』が刻まれているものです」と説明。慰霊碑前の平和の池の中に設置された多言語の説明板には「すべての人々が戦争という過ちを繰り返さないことを誓う言葉」という広島市の見解が刻まれている。
百田氏は同氏の平和記念式典に参列した6日付のXでも「広島市民も日本国民も原爆に関して何も過ちを犯していないし、その責任もない。過ちは米国が犯したものである。」「米国政府から『原爆投下は過ちであった。我々はしてはいけないことをしてしまった』という言葉があれば、被災者の霊は幾分かは慰められるのではないか。」などと持論を展開していた。