参院選(20日投開票)東京選挙区(改選数6、非改選の欠員補充1)に無所属で出馬した山尾志桜里元衆院議員(50)が3日、東京・武蔵野市のJR吉祥寺駅前で第一声を上げた。
炎天下の中、山尾氏は「本人」と記された空色の幟(のぼり)を掲げるスタッフと共に1人でマイクを握り、約25分間に渡って熱弁を振るった。
一度は国民民主党の公認予定候補として発表されたが、6月10日に開いた約2時間半の会見で過去の不正支出や議員パスの不正利用問題、週刊誌で報じられた不倫疑惑について明確に答えられない場面もあり、翌日に公認を見送られる形に。結局、無所属で激戦区に出馬する形となった。
山尾氏は政党のしがらみのない「無所属」だからできることとして「女性天皇の容認」や「憲法9条2項の改正による安全保障」などを掲げ、「右や左に偏らない“ど真ん中”の中道政治」を自身のアイデンティティとした。
第一声の地とした吉祥寺は首都圏の「住みたい街ランキング」で常に上位となる街。思い入れは強かった。山尾氏は「私が人生の大半を過ごしてきたホームタウン」とし、小中高校から大学まで吉祥寺を起点に通学したこと、7年間の司法浪人時代に「ジャズの流れる吉祥寺のレストランバーでウェイトレスとして楽しい青春も送った」ことも回顧した。
現在も「週末には井の頭公園でウォーキングをし、息子には(吉祥寺駅近くの)大手家電量販店でパソコン周りのものを買わされております」と明かした。「この私の日常である吉祥寺で、この選挙戦を始めることができて、私は一つ確信することができました」と胸を張った。
その「確信」から中道政治に目覚めたという。山尾氏は「永田町周りの人は心配してくれております。『皇室と憲法で勝てるのかよ。憲法改正なんて言ったら、左の人が離れていき、女系天皇という言葉を発しただけで右の人が離れていく。どこに票があるんだ?』と。でも、それは永田町の論理。私はこの吉祥寺の皆さんと対話をし、これからの子どもたちが自由で安全に暮らせる国にしたい。だから、私は左に右にもとらわれない、この国の未来だけを思う中道政治にかけていきたい」と訴えた。
演説後の囲み取材では、ネットでの自身の批判について問われ、「ネット世論も大事な世論の一部ですが、それが全部ではありません。両方の意見や世論をしっかり受け止めていくことが大事だと思っています」との見解を示した。
「無所属」であることについては「基礎票がゼロですので難しい闘いであると思いますが、無所属でしか訴えられない国の政策がある。無所属だからこそ、政党やコアな支援者の思惑といったものから距離を置いて、大事なことを正面からストレートに訴える、そんな勝負をしたい」とし、現在の政治状況に対して「混とんとしていますが、それは民主主義にとって悪くないと思っている。この参院選で、有権者が賢いバランス感覚を働かせるのではないかと思っています。そんな皆さんの視界の中に私の『中道の旗』が映るように戦っていきたい」と決意を口にした。
その後も駅前の商店街を練り歩いた。現場で野次は聞かれず、地元民からは「頑張って」というエールの声が相次いだ。