A4用紙にびっしりと書き込まれた文字。近づいて見ると路線図だ。日本のありとあらゆる駅が記載されている。作成したのは、全国の秘境に赴き郷愁風景を撮影・投稿しているXアカウント「一人旅研究会」(@hitoritabiken)の栗原悠人さん。大学1年生だった2015年に書きあげたという。「我ながらヤバかった」と語る栗原さんに当時の話を聞いた。
栗原さんは同Xアカウントに「我ながらヤバかったなっていうのは、大学1年の時に、日本全国手書き路線図を書いたこと」と投稿し、その路線図の写真を公開した。A4用紙13枚半に、細めのポールペン(ボール径0.3ミリ)でびっしりと書かれた駅、駅、駅…。JRだけでなく私鉄、地下鉄、モノレールなどほぼ網羅されている。
関西エリアを見ると、大手私鉄(阪急、阪神、京阪、近鉄、南海)のほか、北大阪急行電鉄などの準大手私鉄、大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)、大阪モノレールなどの駅をこと細かく記載。また、阪急の梅田駅(現・大阪梅田駅)や石橋駅(現・石橋阪大前駅)など改称される前の駅名が時代を感じさせる。
ネットでは「すげ~!」「ヤバいと言うよりも『凄い!』しか出てこない、、、」「こういうのが愛」「私鉄まで網羅してるのかよ」「これ現代の大日本沿海輿地全図だろ」「現代版伊能忠敬の7文字が頭に浮かびました」「もはや経文で草」「うちの地元駅もあるw」「今では名前が変わった駅もあり、なんだか感慨深いです」などの声が寄せられた。
作成のきっかけは2015年夏。「初めての一人旅で神奈川県川崎市から北海道網走市まで普通列車で向かった際、手元にあった市販の全国路線図を見て、ふと『全国の鉄道駅を詰め詰めに書いてみるか』と思い書き始めました」と述懐した。
当時から「これから全国を一人旅したい」という強い思いがあったといい「ならば全部の路線を書くべきでしょうと、地下鉄等も含めすべての駅を記載しました」とこだわりを凝縮。空いた時間を利用してコツコツ書き進め、完成まで2カ月を費やしたという。
作成から10年の月日が経過し、改めて見ると「我ながらヤバかったな」と思うとともに、変わってしまった部分に目がいく。当時は現役だったが、現在は廃業になっている駅も多いからだ。「路線図がスカスカになりつつある北海道の路線図を書くのが辛くなりそうなので書く気にはなれていません」と10年ぶりの作成には消極的。その代わり「最盛期だった昭和30年代の北海道路線図の手書きとかはしてみたいです」と意欲を見せた。