世界的映画監督フランシス・フォード・コッポラ(85)は子供の頃ポリオに感染し、2度と歩けなくなると警告されたそうだ。幼少期に同病気に罹り、病棟の他の子供たちに恐怖を感じていたという。
デッドラインにコッポラは次のように明かす。「熱が出て、病棟に連れていかれたんだ。そこは子供たちでごった返していて廊下には担架が3つも4つも積み上げられていた」「鉄の肺(ポリオの治療に使う人工呼吸器)の中にいる子供たちの顔を鏡越しに見ることができて、彼らは親を思って泣いていた」「突然鉄のタンクの中に入れられる理由を理解できていなかった。私はその中にいなくて、自分よりもその子供たちが怖かったのを覚えている」「周りを見回した私はベッドから出ようとして床に倒れてしまい歩けないことに気づいた。起き上がれなかったんだ。その病棟に10日間ほど入院してようやく両親が家に連れて帰ってきてくれた」
一方自身の症状には明確な治療の目処が立たず歩けなくなると医師から警告されたそうで、「あるフランス人医師のところに連れて行かれて初めてはっきりしたんだ。彼は、僕は兵士にもなれるし、長生きして活動的であり続けることも可能だって言ったよ。でも『車いすの上で』って条件を出しつつね」「その時自分が何に直面しているのかがわかった。その日の午後に中華料理を食べに行ったんだけど、彼に言われたことを思い出して大好きな料理だったのに泣いてしまった」と続けた。
しかし父親のカーマイン・コッポラはその医師を信用することを拒否、更なる治療を推し進め遂に息子が完全に動けるまでになったそうだ。
コッポラはこう振り返る。「ベッドに縛り付けて動けなくさせる治療が幅を利かせていた。彼(カーマイン)にとっては論理的でなかったみたいだ。だから父親は当時『マーチ・オブ・ダイムズ』という名の団体のところに行った。ポリオの子供たちを助ける団体で、オーストラリアの看護師シスター・ケニーによるものだった」「彼女のメソッドは軽い運動だった。そして私の父親は神に感謝し、麻痺した人を動けなくするよりも賢明と判断した。身体を動かさなければ筋肉をこれ以上傷めないという考えよりもね」「僕はウィルソンさんという素晴らしい女性を紹介された。白い髪の年配の女性で週に4回家に来てくれて手足を持ち上げるような軽いエクササイズをしてくれて4、5か月かけて私の左腕は徐々に動かす能力を持つようになった」「今日も私が歩けるのはシスター・ケニーの療法のおかげだし本当に感謝しているよ。当時革命的な考え方だったんだ。誰もが動かさない説を信じていたから」