ガッツ石松、スピルバーグ監督が一目置いた伝説マッチ 「スピちゃん」と呼ぶ間柄、米映画デビューを回顧

北村 泰介 北村 泰介
ボクシング元世界王者から、俳優、タレント、映画監督などマルチに活躍してきたガッツ石松
ボクシング元世界王者から、俳優、タレント、映画監督などマルチに活躍してきたガッツ石松

 ボクシングの元WBC世界ライト級王者で、俳優、タレントのガッツ石松は今年、世界王座奪取と映画俳優デビューから50周年を迎えた。その節目となった2024年も残りわずか。ガッツがよろず~ニュースの取材に対し、かつて出演作を通して出会った米ハリウッド映画界の巨匠、スティーブン・スピルバーグ監督との秘話などを語った。

 1974年4月11日、東京・日大講堂。ガッツはWBC世界同級タイトルマッチで王者のロドルフォ・ゴンザレス(メキシコ)を8回KOで倒して王座奪取。同年には渡瀬恒彦さん主演の東映映画「極悪拳法」(74年)で現役の世界王者として俳優デビューした。後に、フジテレビ系「北の国から」(81年~)やNHK連続テレビ小説の「おしん」(83年度)や「はね駒」(86年)などで、お茶の間に俳優としての顔も浸透。その頃に、スピルバーグ監督の「太陽の帝国」(87年)でハリウッド映画デビュー。日中戦争時の上海を舞台にした同作で日本兵を演じた。

 ガッツはスピルバーグ監督を「スピちゃん」と呼ぶ。「スピちゃんはボクシング好きで、イギリスの名チャンピオンと俺が闘ったことを知ってるわけね。だから、いろんな面で、俺のこと、認めてくれてたんだよね」。撮影中もボクサーとしての実績に敬意を表してくれたことに感謝した。

 この「英国の名チャンピオン」とは、昨年4月に77歳で亡くなった元WBA・WBC統一世界ライト級王者のケン・ブキャナンを指す。1975年2月27日、東京体育館。王者ガッツは3度目の防衛戦(15回戦)で、最強の指名挑戦者である同級1位のブキャナンと激突。終盤の猛攻で圧倒して3-0の判定で快勝した。このタイトルマッチで、ガッツはWBCの月間MVPに選出され、世界的な評価も高まった。5度の防衛を果たし、79年に引退。戦績は51戦31勝(17KO)14敗6分けだった。

 スピルバーグ監督がブキャナン戦を認識した上で接していたという「太陽の帝国」に続き、ガッツは2本目のハリウッド映画「ブラック・レイン」(89年)に少年時代からの憧れだった高倉健らと出演。「健さんとの共演はうれしかったね。リドリー・スコット監督も、元ボクサーである俺が出ている映画を観てくれていて、珍しがってくれた」と振り返り、「アメリカの映画に出られたことは、今思えば、いい思い出だよね」と懐かしんだ。

 そんなガッツも75歳。「体調は良くもなし、悪くもなし。それでよしとしないと。(酒は)飲みたくなりゃ飲むし、飲みたくなければ、一切、飲もうとは思わない。ウォーキングとか、昔は一時、やってたんだけど、最近はやらなくなった。寒いしね。だんだん、知り合いとの付き合いも少なくなるよね。俺くらいの年代になると、みなさんも、そうじゃないの?これからの人生、のんびりしたいね」。激動の時代を懐かしみながら、自然体の日々を過ごす。

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