弁護士の野村修也氏が1日未明、自身のX(旧ツイッター)を更新し、TV番組の制作陣に注意を呼びかけた。「TV番組が『人民裁判』になりがちな理由を考えてみた。」と書きだして長文を掲載した。
「ある件が話題に→担当プロデューサーがディレクターに違法性を調査させる→ディレクターは法律家に取材→取材した法律家が『ある条件を満たせば違法になる可能性がある』と説明→ディレクターは『違法の可能性』という結論に反応→『違法の可能性あり』とプロデューサーに伝える→番組では、『法律家によれば本件は違法の可能性がある』と報道→視聴者が違法だと認識し騒ぐ」と視聴者が“違法認定”するようになるメカニズムを解説した。
続けて「→報道に対し、『違法になるには条件があるだろう』との批判が出る→誤報にできないので、条件を満たしていると思わせる状況証拠を掻き集めて報道→挙げ句の果てには、『条件を満たしていないことが証明されていない』として違法に違いないと強弁」とTV自ら反論を封じ“違法認定”を補強してしまうと説明した。
「こうなると、推定無罪の原則などはどこ吹く風。身の潔白を証明できない人はみんな罪人扱いになる。」と“疑わしきは罰する”空間ができあがるとした。
自身も弁護士であるだけに法律家は「結論に至る条件を聞き分ける癖がついている。」と説明。一方で、視聴者らは「違法」という言葉を重視しがちだとし、考え方にズレがあることを指摘した。法律家に対しては「推定無罪の原則が崩れないように、丁寧に説明する必要がある。」「極端な仮定を置いた話は控えることも大切だろう。」と呼びかけた。
番組制作サイドには、法律家が「いくつかの前提条件を置いて」話していることに留意することを求めた。「『違法』と打ち出した方がセンセーショナルで視聴率につながるとしても、ここは我慢のしどころ。さらに言えば、条件が成就していると言いたいが故に、これも怪しい、あれも怪しいと騒ぎ立てるのも慎むべきだろう。」とキャッチーなワードや内容に引きずられないように求めた。
「結論としては、面白みに欠けるかも知れないが、『ある条件を満たすならば違法になる可能性はあるが、現時点ではその条件が成就している証拠はないので、違法とは言えない』という冷静な報じ方が求めらるのではないだろうか。」とまとめた。
野村氏は日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」やテレビ朝日系「報道ステーション」などさまざまな番組でコメンテーターとして活躍。読売テレビ「ウェークアップ」では今年3月までメイン司会を務めていた。
11月26日に出演した「ミヤネ屋」では、兵庫県の斎藤元彦知事とPR会社の関係が公職選挙法に触れるのではないかと問題視されている話題について「今出てきている事実で分析しないと。出てきてる事実は70万円という金額。『そんなに安いやり方してんだからきっとどこかで裏で陰で何かやってんじゃないか』というのは憶測になっちゃいますよ」などと強く訴え、一時番組が紛糾する一幕があった。同日のXでは「昨今のTVへの偏向報道批判は残念でならない。何とか踏ん張って名誉挽回に努めて欲しい」と警鐘を鳴らしていた。