ピン芸日本一決定戦「R-1グランプリ2024」の準々決勝が2日、東京・ルミネtheよしもとで行われ、「M-1グランプリ2022」に優勝したウエストランドの井口浩之(40)と、バイク川崎バイク(BKB=44)が登場。取材に応じた両者はクロストークを展開した。
井口は16年、20年に準決勝に進出するなどR-1には継続的に出場。「R-1は結構楽しいイメージがあったので、芸歴制限がなくなったから、また出るかっていう感じでエントリーしたんですけど、いざ来たらやっぱりM-1チャンピオンだと見られて、緊張感がハンパない。本当に出なきゃよかった(笑)。賞レースは1年ぶりでしたが、気楽に出る感じはなくなっていましたね」と、少し疲れた表情を浮かべた。
21年から23年まで出場資格は芸歴10年以下だったが、今回から撤廃。プロアマ問わず出場が可能となった。
14年に決勝に進出し、準決勝にも度々進んだ実績を持つBKB。井口とは14年に上京後、お笑いライブで共演を重ねた仲だ。自身もM-1にはサンシャイン池崎とのユニット「シャウト‼」で挑戦し、ピンとしても長年M-1決勝の前座を務めてきた。「3年やめていたことに、もう一度向き合って思ったのは、昨年の今頃は楽やったなとか、こんなに忙しくなるんやなってこと。普段の仕事に、いい意味で重みができた。行けるところまで行きたいですね」と語った。
緊張感と重圧を口にした両者。BKBが「どっちの方が緊張してるんやろう」とこぼすと、井口は「確かに。ピンの人は慣れているけれど、これに懸けているという緊張がある。こっちは慣れていない緊張がある」と呼応。BKBから「でもチャンピオンとして1年やってきた井口くんは、相当なプレッシャーだと思う。期待される側に回ったよな」と水を向けられ、井口は「甘く見てました」と苦笑した。
ただBKBは「井口くんが出てくれて、R-1が話題になるのはうれしい」と感謝する。井口は「前に出ていた頃は、ネタを間違えるヤツも隣にいなくてやりやすいし、独特の緊張感もあって、いい思い出ばかりで漠然と楽しかった。二人でやるときと違って、自分の好きなことを一人でやれるのは良かったですね。受かっているか落ちているかのドキドキは賞レースならでは。しんどくてもやみつきというか、中毒性があるんでしょうね」と振り返った。
BKBは井口をはじめ人気コンビからの参戦を歓迎しつつ「ピンは1年やってきたネタを叩いて出るんですよ。コンビの人は多分、いきなり作ったネタかワンアイデアで出てくる。叩く時間がないから当たり前なんですけど。ただ、お客さんはお笑い好きが集まるから、オレらには『見たことある』という目で、コンビには『新しい。見たことない』って目で見るんですよ」と、ピン芸人への逆風を指摘した。
これを聞いた井口は「最初は僕が今回出るのは、迷惑だと思っていたんですよ」と告白。M-1で優勝を決めたネタでは「R-1には夢がない‼」とぶち上げ、大ウケした経緯もあった。「それでもバイクさんもそうですし、結構上の人に『ありがとう』と言ってもらえて、お客さんも喜んでくれたので良かった。R-1のことを悪く言った分くらいは貢献したいし、皆が喜んでくれるのが一番嬉しかったです」とうなずいた。
栄冠と賞金500万円を目指すR-1には、史上最多5457人がエントリー。144人が進出した準々決勝は大阪と東京で行われ、準決勝進出者は後日発表される。
井口は「M-1で優勝したんですけど、そんなに尊敬されていない。(霜降り明星)粗品とか(マヂカルラブリー)野田さんのように、できれば2冠を取ってカリスマになりたいですね」とキッパリ。コンビ、ピンでのダブル優勝への下心を口にし「もっと嫌われるかもしれないけれど」と笑った。
BKBは「井口くんとかコンビの人が、ピンで笑いを取るのはスゴイことなんだともっと広めてほしいですね。ピンで笑いを取るのは本当に難しいですから」とピン芸人のプライドを吐露。その上で「あまり騒がれていないけれど、ネタ時間が3分から4分になったのはムチャクチャすごいこと。大幅にできることが増えるし、テレビでピンネタが4分流れることはあまりないので、ぜひやってみたいですね」と決勝の舞台を見据えた。
決勝は3月9日、カンテレ・フジテレビ系で生放送される。