クリストファー・ノーラン監督は、新作映画『オッペンハイマー』の中で最も衝撃的なセリフの一つをジェームズ・レマーに“即興”で言わせたそうだ。
キリアン・マーフィー演じるJ・ロバート・オッペンハイマーが、米国のヘンリー・スティムソン陸軍長官ら政府高官と、日本での原爆投下場所について会談するシーンで、ジェームズ演じるスティムソン長官は、オッペンハイマーの原爆を京都に落とさないよう皆に知らせている。
ノーラン監督はニューヨーク・タイムズ紙にこう語っている。「ある時ジェームズ・レマーが、スティムソン夫妻が新婚旅行で京都に行ったことを知ったと私に繰り返し言ってきてね」「スティムソンが京都を爆撃対象から外した理由の一つがそれなんだ」「文化的に重要な都市だからという理由で私も彼に対象から除外させたが、『それも追加しといて』と伝えたんだ」「その場にいた誰もが、どう反応すればいいのか分からないような素晴らしくエキサイティングな瞬間だった」
一方、ノーラン監督は、作品の俳優たちがオッペンハイマーの伝記を読む以外にも、多くのリサーチを行っていたことを明らかにしていた。「彼らは宿題を山ほど抱えていた。伝記『「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』という素晴らしい資料を持っていた」「それで役柄がどのようなものか独自のリサーチを行ったんだが、それは私がこれまで出来なかったことだ」
「例えば、科学者全員がいる教室のセクションのシーンに合わせて、即興でディスカッションできた」「脚本はあるが、彼らは自分たちのすべての学習に基き、情熱と知識を持って作品に投入することができる」
『オッペンハイマー』は7月21日の公開以来、ユニバーサル・ピクチャーズにとって大きな興行収入を記録し、わずか2週間足らずで国内興行収入1億8000万ドル(約258億円)の大台を突破した。また、全世界では4億1200万ドル(約588億円)を突破しており、R指定の3時間にわたる伝記ドラマとしてはこの数字は「驚異的」と批評家たちは語っている。