朝ドラのタイトルのように「舞いあがれ!」 大阪・八尾のコンペイトウ王国から世界へ発信

中江 寿 中江 寿
コンペイトウミュージアムの商品
コンペイトウミュージアムの商品

 多くの人が食べたことがあるであろう金平糖。NHKで好評放送中の朝ドラ「舞いあがれ!」の舞台近くの大阪・八尾に、金平糖の普及に努める「コンペイトウ王国」(大阪糖菓株式会社)がある。多くの町工場が点在する一角。1940年に開業した菓子卸問屋から始まり、戦後の46年に菓子製造業として工場を建設し、現在に至っている。

 ピーク時は大阪だけでも金平糖を扱う会社は50社ほどあったが、現在は専門店が4社。全国も含めると9社しかない。3代目社長の野村しおり氏(45)は「技術の継承がすごく難しいですね」と後継者問題を口にする。それでも「弊社の職人は50代が2人、20~30代が5人。若い方ですね」と笑った。

 2代目社長で現会長の野村卓氏(74)が少子化や人口減少の影響で危機感を募らせ、駄菓子から高級菓子へシフトチェンジ。京都、長崎、金沢の土産物屋を中心に卸問屋を通じて販売。オーストラリア、シンガポール、台湾、アメリカ、フランスなどにも展開している。

 また、体験型ミュージアムとして「コンペイトウミュージアム」が03年3月に堺、同年12月に本社のある八尾、12年3月には福岡県に誕生。親しみを持ってもらおうと、来訪者に歴史、文化、製造工程を伝えている。

 3代目の野村社長もコスプレで宣教師「フロイスしおり」に扮して金平糖をアピール。「伝統も大事ですけど、変わっていかないといと。現状維持では後退していく。面白いものを作っていかないと」と攻めの姿勢を貫く。ゴム会社とのコラボ商品として、チューブの中に金平糖を詰め込んだブレスレットを販売。「登山などで、いざというとき非常食にもなります」と話す。金平糖の賞味期限は1年だけに保存が利く。

 他にもイヤリングや、地産地消として地元・八尾市の特産品の若ゴボウ、近隣の柏原市のぶどうを使った商品もある。値段は500円から1000円台のものが中心だが、世界三大酒精強化ワインのひとつである、ポルトガルのマデイラワインを使用した1万円以上の高級品も。アニメキャラクターや漫画などもSNSを通じて発信している。

 コロナ禍の影響で20年、21年と売り上げは6割まで落ち込んだが、ようやく以前のように戻りつつある。「創業100年を目指して、次の世代に残せたら。海外にも大きく展開したいですね。もちろん、ポルトガルにも輸出したいです」と今後の目標を掲げた。

 金平糖の名前の由来はポルトガル語「Confeito」(コンフェイト)。16世紀の安土桃山時代に南蛮貿易でもたらされ、約500年がたった。「うさぎ年ですし、チャレンジをいっぱいして、飛び跳ねたい」。東大阪から世界へ〝舞いあがる〟。

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