【漫画】家族が日本を震撼させた凶悪犯だとバレたら?修羅場と化す日常に「ツラ過ぎるけど、最高!」の声

橋本 未来 橋本 未来

 父が凶悪犯であることを隠す、学校イチの優等生の弘川くん。その事実を同級生の女子、黒崎さんに知られたことで事態は急転。弘川くんは、父のことを周囲にバラされたくない一心で、黒崎さんから命令される屈辱的な要求に応じながら、とうとう取り返しのつかない行動を起こしてしまう──。

 一見、目を背けたくなる表現が各所に登場する作品『完璧少年奮闘記』には、弘川くんと黒崎さんの歪な友情や、だれの心にも響くエピソードがテーマとなっていることなどから、「ツラ過ぎるけど、最高!」「読後感は、青春ドラマの爽快な気持ち」と好評を博している。作者は、第6回ヤングスペリオール新人賞で大賞受賞の経験もある、漫画家の岩渕杏香さん(@iwakyonn)。SNS漫画の主流とは一線を画す、こうした表現に辿り着いた理由や、創作の背景について話を聞いた。

視覚に残りやすい表現≒過激さ

 凶悪犯に心酔する女子学生をはじめ、家庭内暴力、脅迫、親への復讐など、激しいキーワードが散りばめられているこの作品について、岩渕さんは「あえて、過激に描こうとしたわけではない」と話す。「過激にしようと意識しているわけではありません。視覚的に強く印象に残る形で描こうとした結果、過激になってしまっているのかもしれません。また、好きな映画やドラマで過激な表現がされているものが多いので、そういったところからも影響されている部分が多いと思います」と、こうした表現に辿り着いた理由について教えてくれた。

 ほかの作品にも共通しているのが、感情的なシーンになると、絵柄がガラっと変わってしまうところ。それまで、ほんわかとコミカルなトーンだったものが、突然シリアスな雰囲気に切り替わり、緊張感やシリアスさが増し、さらに読み応えある印象になっていく。この作画法については、まだ試行錯誤の途中だと岩渕さんは言う。「『猛暑の日』だったら“人間が溶けてしまう世界の異常性とそれに対する恐怖”。『完璧少年奮闘記』であれば“精神的な抑圧からの解放感”というように、それぞれの話で強調させたい主人公の感情があって、それらを絵柄の抑揚でなんとか表現できないかと思ってやっているので、明確な区別や定義などは定めていないです。読者の方々には自由な解釈で読んでいただきたいと思って表現していますが、読み返してみてわかりづらいところも多く、きちんと定義したほうがいいようにも思っています」

 これからの展望については、「現在は、スペリオールの担当さんに指導してもらいながら、連載をめざしてがんばっています」としながら、創作への熱い思いも語ってくれた。「今後はさらに、普段生活している中で、暗い気持ちで向き合ってしまいがちな感情を明るくコミカルに表現していけたらと思います!」。退屈な日常に風穴をあけてくれる岩渕さんは、これからどのような作品を描いてくれるのか、期待したい。 
 
■岩渕杏香さんInformation
 
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