【漫画】ハロウィン当日、映画史に残る悪役に扮したおじさんの“悲劇” 「ハチ公前で座ってる絵が浮かんだ」

橋本 未来 橋本 未来

 今や若者世代の一大イベントとして浸透したハロウィン。思い思いのコスプレで若者たちが楽しむそんなイベントの渦中に、もし、映画『ノーカントリー』に登場する冷徹な殺し屋シガーに扮したおじさんが紛れ込んでしまうと、どうなるだろうか。想像するだけで、おじさん世代の心をヒリヒリとさせる作品『ハロウインに「ノーカントリー」のシガーで来ちゃったおじさん』がTwitterで話題となった。

 

 作者は、2010年に『日々ロック』(ヤングジャンプ)でデビュー後、『いじめ探偵です』(やわらかスピリッツ)や『メゾン・ド・レインボー』(コミックアルナ)などの作品で知られる、漫画家の榎屋克優さん(@enokiyamanga)。絶妙に痛いところを突いてくる作風を知られる榎屋さんは、どのような思いで、こうした作品を生み出しているのだろうか。話を聞いた。

漫画家をやめてマジシャンになる可能性も

 ただただ笑えるだけではなく、そこに考えさせられる要素や泣ける要素を取り入れる、榎屋さんの作品。その特徴について、榎屋さんは「『静かなるドン』とか(映画監督の)アレクサンダーペインの影響だと思います。だから、さそうあきら先生の漫画とか笑えて泣ける絶妙なバランスの漫画に憧れています。いましろたかし先生も大好きです」と話す。

 

 そして、もうひとつの特徴が海外のドラマや映画の影響を感じられること。榎屋さんは言う。「高2の時に『タクシードライバー』を観てしまい、それからずっと洋画が好きです。日本映画もいいんですが、やっぱり未知のものに触れている感じがたまらないんだと思います。昔、『テキサスレディオギャング』という漫画を描いたんですが、これは海外ドラマ『デスパレードな妻たち』の影響をもろにうけてますよ」

 

 こうした特徴が凝縮されているのが、Twitterで話題となった『ハロウインに「ノーカントリー」のシガーで来ちゃったおじさん』だろう。この作品はどのような経緯で生まれたのだろうか。「自分がハロウィンに行くなら『ノーカントリー』のシガーだと思いまして、1人でハチ公前で座っているおっさんの絵が浮かびました。ずっと描こうと思っていたのですがタイミングが合わず、今年やっと描けたのでうれしかったです。ちなみにドラマ版の『ファーゴ』はシーズン3が1番好きです(笑)」

 

 良い意味で肩肘を貼らない等身大の言葉で語ってくれる榎屋さんは、今後について、驚きの展望を語ってくれた。「今は、明るく楽しい漫画を描きたい気分です。いずれはものまね芸人とか、忌野清志郎さんの漫画とかも描いてみたいですね。まあ未来のことはわかりませんが……。漫画家やめてマジシャンになってる可能性もあります」と、笑いの要素を大切にしている榎屋さんらしい言葉で締めくくってくれた。次作では、どんなアプローチで笑わせ、心をヒリつかせてくれるのか。楽しみでならない。

 

 ■榎屋克優さんInformation
 
▶Twitter /
https://onl.sc/yiF1Avb
 
▶絶賛発売中の『いじめ探偵です』はコチラ /
https://yawaspi.com/ijimetantei/

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