父が誘拐事件の犯人?疑念に追われたソン・イェジンの熱演光る「殺人の疑惑」

Danmee Danmee
実際の事件を題材にした韓国映画。左から『あいつの声(2007)』、『イテウォン殺人事件(2009)』、『殺人の追憶(2003)』(画像出典:movie naver)
実際の事件を題材にした韓国映画。左から『あいつの声(2007)』、『イテウォン殺人事件(2009)』、『殺人の追憶(2003)』(画像出典:movie naver)

ソン・イェジンは今春、『愛の不時着』の共演をきっかけにヒョンビンと交際・入籍したことを知らせ、世界中のファンから祝福された。現在第一子を妊娠中であることを発表し、順調な新婚生活がうかがえる。

しばらくは出産準備&育児に専念する可能性があり、彼女の出演作品に触れる機会は無くなりそう。そこで今回は、まだあどけなさが残るソン・イェジンの過去の代表作、映画『殺人の疑惑(原題:共犯/2014)』を紹介する。

2013年に韓国で公開された本作は、韓国三大未解決事件として知られている“イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件”にインスパイアされ製作されたサスペンス。

当時、既に人気女優として知られていたソン・イェジンを主演に起用したとあり、スマッシュヒットを記録した。

*この記事にはネタバレが含まれています、ご注意ください。

大学院生のダウン(ソン・イェジン扮)は、男手一つで自身を育ててくれた父スンマン(キム・ガプス扮)と共に、平凡な日々を過ごしていた。

世間では、未解決事件“イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件”の公訴時効(2015年に殺人罪の公訴時効は、韓国で廃止となった)が迫っており、テレビなどでは連日情報提供を呼びかけていた。

ある日ダウンは、友人らとこの事件を題材にした映画を鑑賞するが、作中で流れた犯人の声が父と似ていることに衝撃を受ける。

さらに犯人が口にした「絶対にあきらめない」という言葉は、ダウンが幼い頃からよく耳にしていた父の口癖と一致していたため、動揺を隠せない。

ダウンの中に芽生えた疑念--さらに後日、シム(イム・ヒョンジュン扮)と名乗る男がダウン親子の前に現れ、スンマンに金銭を要求していることが明らかになる。

深まる父への疑いに耐えかねたダウンは、自身の手で父の過去を調査を開始。そこで分かった事実とは、自身を生んだと同時に他界したと聞いていた母が、実は生きているという衝撃的なものだった。

果たして、父の過去に何があったのか、父は事件の犯人なのか、ダウンの出生に隠された秘密とは‥。ストーリーが進むごとに、次々と判明する真実に対して、最後まで明かされない父の正体。

息を飲む展開に釘付けになること間違いなし、本格サスペンスとしておすすめしたい一作だ。

本作が公開された2013年当時、“イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件”は時効を迎えていた。犯人が多くの手がかりを残していたにも関わらず、逮捕に至らなかったこの事件を、多くの韓国人が憤りを感じたまま記憶しているだろう。

劇中、ダウンが鑑賞した映画は、本作を手掛けたクク・ドンソク監督が2007年に助監督を務めた『あいつの声(2007)』だと言われている。

『あいつの声』もまさしく同事件が題材であり、真犯人の肉声を作中に使用した演出は、韓国中に衝撃を与えるものとなった。

韓国は、映画やドラマという手法で、未解決事件を風化させないという傾向にある。

実際、チャン・グンソクが主演を務めた映画『梨泰院殺人事件(2007)』の反響が高かったことを受けて捜査が再開、犯人逮捕に至ったのだ。

近年では、作品の直接的効果ではないが、ポン・ジュノ監督の代表作『殺人の追憶(2003)』のモチーフとなった、“華城連続殺人事件”の真犯人が2019年に判明し(公訴時効が2006年に成立)、韓国だけでなく海外からも関心を集めた。

こうして見ると、未解決事件の解決を願い、被害者の苦しみや悲しみを忘れないための方法として、作品の力は十分な影響力があると言える。

実際の事件を積極的にモチーフにし、力強い名作を生み出し続ける韓国映画界。その代表作の一つと言える『殺人の疑惑』は、現在Prime Video、U-next、huluなどで配信中だ。

(投稿:島田元)

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