まるでケンタウロス? 馬術×球技「ホースボール」苦節10年、世界大会初出場へ

ダイナミックな体勢でボールに手を伸ばす(提供)
ダイナミックな体勢でボールに手を伸ばす(提供)

 馬と人間が一体となり激しくボールを操るスポーツ「ホースボール」の日本代表チーム「ケンタウロスジャパン」が、8月15日からフランスで行われる世界大会に初出場する。マイナースポーツ地道に育て、初の世界大会出場にこぎつけた日本ホースボール協会の代表・西島隆史氏が意気込みを語った。

 ホースボールは4騎対4騎で戦うスポーツ。人馬一体でコート両端にあるゴールへボールを入れ得点する。激しいタックルやパスをする姿から、ラグビーやハリーポッターに登場する「クィディッチ」に例えられる。

 プレーをする上では、馬との意思疎通が欠かせない。西島氏は「自分が乗った馬を把握していればいるほど活躍できる」と話す。走りやすい乗り方やスタミナが続く戦い方など、馬の個性を見極めることが重要だという。

 日本の競技人口は約30人。日本ホースボール協会が所有する、元競走馬の4頭と練習に励んでいる。西島氏によると「人間に対して信頼感がある」「いい意味で人間を小馬鹿にできるくらい賢い」など、人間への恐怖心が少ない馬はホースボール向きだという。地方競馬で活躍した「チャンピオンゴッド」も競技に参加しており、気性が乗馬クラブ向きではないと判断された引退馬の活躍の場になっている。

 2012年の協会設立から10年。練習場探しや馬の獲得など、西島氏がゼロから育てた日本のホースボールが世界にお披露目されるが、「練習量としては、コロナ禍や馬の頭数の関係で十分な練習はさせてあげられなかった」と懸念も残る。

 本来、試合形式の練習をするには最低でも8頭が必要だが、協会が所有する馬は4頭のみ。数少ない馬のケガのリスクを考え、普段は1対1でのパス練習などが中心になっている。さらに、W杯へは金銭的観点により日本から馬を同行しないため、現地で慣れない馬とプレーする難しさもある。協会では現在、W杯出場費用や今後の新しい馬を購入するための資金をクラウドファンディングで募っている。

 出場する「2022 FIHB WHR Horseball World Cup」には、強豪のフランスやスペイン、ポルトガルをはじめとした11カ国が出場する。ヨーロッパで修行経験のある西島氏は「みんな(世界の関係者)に会って喜んでもらうのが目標」と、日本代表の勇姿で恩返しを誓う。代表の秋山史門選手は、組み合わせ次第では勝利の可能性もあると話し「現実的ではないかもしれないですけど、(目標は)1勝とメンバーに言っています」と意気込んでいた。

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