ウクライナ侵攻 漫画家が平和願いオリジナル作品公開 二次利用すべてOK「利益から少しでも募金を」

山本 鋼平 山本 鋼平
佐佐木あつし「соняшник(邦題『ひまわり』)」1ページ
佐佐木あつし「соняшник(邦題『ひまわり』)」1ページ

 漫画家の佐佐木あつし氏(58)がこのほど、館長を務めるデジタル展示スペース・光臨アートギャラリーで20ページの短編漫画「соняшник(邦題『ひまわり』)」を発表した。「ウクライナの戦争のニュースを見るたび心が痛く、平和を祈って描きました」。著作権は放棄しないが、商用利用、二次使用をすべて認める。SNSでの拡散を歓迎した上で「もし商用利用された方は、その中で得た利益の中から少しだけでも平和のために募金などにご協力いただけたら」と呼び掛けた。

 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、漫画家としてできることを自らに問い掛けた。仕事以外の時間を削り、あえて全てアナログ作画で20ページの短編を仕上げた。「依頼を受けた作品ではありません。漫画家としてどうしても描かねばならない衝動に駆られ一気に描き上げたものです。プロになってアシスタントを一切使わなかったのは初めてで、10日ほどで一気に描き上げました」。1985年に「あの娘はわがままシンデレラ」でデビューして以来、「ぶらり鉄扇捕物張」、「ガリンペイロ」、「灰色の十字架」などを発表してきた。一般社団法人マンガジャパンなどで海外交流にも積極的だっただけに、ウクライナでの争いは人ごとではなかった。イラストや色紙などではなく、ひとつの作品で平和を呼び掛けた漫画家は極めて珍しい。

 作品は欧州と思われる場所で生きる、家族の姿が描かれる。吹き出し、特定の国名、直接的な戦闘シーンはない。「世界に広がってほしいと思いサイレント作品にしました。紛争の当事者を含めて、誰も傷つけないように戦闘シーンもありません。女の子のブローチに何が入っているのか、耳の遠いおばあちゃんがなぜ足音に気づくのか、なぜひまわりが太陽ではなく家族の方に向かって咲くのかなど、あえて不思議な仕掛けを入れています。家族で子どもへの問い掛けや、読み聞かせのきっかけになれば、と考えました」。漫画家ならではの形で、できることを行動に移した。同作は光臨アートギャラリーのサイトなどで読むことができる。

 

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