岸和田だんじり祭り&岸和田型だんじりの真の魅力 豪快なだけではない独自に進化した繊細さと美しさ

野中 比喩 野中 比喩

毎年9月になると話題になる岸和田だんじり祭り。しかし、いつもニュースになるのは豪快なやりまわしや事故のことばかり。祭りのいわれやだんじり自体についてはほとんど知らないという人が多いのではないだろうか。

先日、SNS上ではミニチュアで岸和田型のだんじりを作っている織広堂さんの投稿が大きな注目を集めた。

「だんじり祭というとどうしても荒くったいイメージがありますが、だんじり本体は非常に繊細で姿見が美しいのです」という言葉が印象的だったが、岸和田だんじり祭りや岸和田型だんじりの魅力とははたしてどのようなものなのだろうか。織広堂さんにお話を聞いた。

野中:作品の精巧な仕上がりに目を見張りました。ミニだんじりを作り始められたのはいつからですか?

織広堂:本格的に始めたのは6年前になります。

野中:岸和田のだんじり祭りの魅力とはどのようなものでしょうか?

織広堂さん:岸和田だんじり祭の最大の魅力と言えば「やりまわし」ですが、やりまわしの真髄は「ごっついやりまわし」にあります。

フルスロットルで「ズドン!」と交差点に突進し、そのスピードを殺すこと無く吸い込まれるように直角に旋回させ、どセンターでビタ止めし、そのまま全力で駆け抜ける…全員の集中力が極限に団結する瞬間です。

ごっついやりまわしが見事に決まった時は魂が震えるほどの感動があるのですが、それは1年に1回あるかどうか。参加者も、見物人も滅多に体験できるものではないのですが、一度でも間近でそれを体験する事が出来たら、きっとその迫力に魅了される事でしょう。

野中:私もだんじり祭りをなんとなくでしか知りませんでしたが、仲間との信頼と一体感がないとできないお祭りですね。テレビで見て怖いだけのイメージを抱いてしまってました。

織広堂:岸和田のだんじりには「どこよりも良いだんじりを」という町民の熱意があります。それに応えるべく大工、彫り師が腕を振るって製作されます。より豪華に、より精密に、かつ豪快に走る事をストイックに求め、数多あるだんじりの中でも独自の進化を遂げてきました。

岸和田型だんじりは他のだんじりや山車と比較すると、腰廻りと屋根廻りにボリュームがあるのが特徴です。美しく湾曲した屋根型に豪華に組み上げられた組物があり、それはまるで日光東照宮陽明門のように優雅な屋根廻りで、どっしりとした腰廻りは精巧な彫物で覆われおり、豪華で迫力かつ均整のとれた美しい姿見が岸和田型だんじりの魅力であると思います。

野中:織広堂さんの作品からは地元愛がひしひしと伝わってきます。ミニだんじり製作のこだわりについてお聞かせください。

織広堂:現在11台目を製作中ですが、各町それぞれの特徴をしっかりと捉えるように気を付けています。「そうやねん!このだんじりはここがええねん!」と言われるようなコアな琴線に触れる作品を作りたいと常に意識しています。

今や全国的に有名になった岸和田だんじり祭りですが、だんじり本体の魅力にはまだまだ気付いて貰えていないと感じます。私は岸和田で産まれ育ったので、だんじりの中でも岸和田型だんじりに特化した作品づくりをしております。相当マニアックな視点で進めてますが、私の作品から少しでも岸和田のだんじりに興味を持って頂けましたら幸いです。
◇ ◇

岸和田だんじり祭りは岸和田の歴史と人々の一体感が生み出した奥の深い文化のようだ。織広堂さんの活動により、岸和田だんじり祭りや岸和田型だんじりの真の魅力に気付く人が増えることを期待したい。

織広堂さん関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/orihirodo
ブログ:https://orihirodo.blog.fc2.com/?mp=9848

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