「安藤忠雄展 描く」「都市と私のあいだ」「Self-History」3つのテーマ別展示で大林剛郎氏のコレクションに迫る

よろず~ニュース編集部 よろず~ニュース編集部
「安藤忠雄 描く」ティザービジュアル
「安藤忠雄 描く」ティザービジュアル

 寺田倉庫(東京都品川区)が運営する東京・天王洲の現代アートのコレクターズミュージアム「WHAT MUSEUM(ワットミュージアム)」では今月25日から来年2月13日までの期間、大林コレクション展「安藤忠雄展 描く」「都市と私のあいだ」「Self-History」を開催する。国際芸術祭「あいち2022」組織委員会会長を務める大林剛郎氏のコレクションを3つのテーマに添って展示し、その変遷に迫るとともに、収集作品群への多角的なアプローチを試みる。

 「安藤忠雄展 描く」では全長10メートルに及ぶドローイングを中心に据え、初期建築作品のスケッチ、未完のプロジェクトのシルクスクリーンを含む平面作品15点を展示。未来を思い、図に描くことから始める名建築家の実像が垣間見える。彫刻家グザヴィエ・ヴェイヤンによる全高約2メートルの彫刻「Tadao Ando」、2000年の上海ビエンナーレで制作された長さ10メートルの「ベネッセハウス-直島コンテンポラリーアートミュージアム」ドローイングが本邦初公開される。未完の「宇都宮プロジェクト」「中之島プロジェクトI(大阪市役所)」にも注目が集まりそうだ。

 「都市と私のあいだ」では都市とアーティストや私たちの「あいだ」に存在する、都市を形成するさまざまな要素(都市基盤・建築・インテリア・模型等)を被写体とし、9名のアーティストがそれぞれの視点で都市を捉えた写真作品を中心に15作品を展示。畠山直哉の 「untitled / Osaka」シリーズは時間とともに移り変わる都市の変遷を切り出し、ルイザ・ランブリの「Untitled(Barragan House)」シリーズは建築家のルイス・バラガンが設計したバラガン邸での微細な時間の変化と私的な経験が映し出されている。また、トーマス・デマンドの「Museum H 64」では、建築家・妹島和世のアトリエで建物が完成するまでのプロセスで生み出され続ける建築模型が被写体となった。野口里佳、トーマス・ルフ、アンドレアス・グルスキーの初期作品なども展示される。

 「Self-History」は大林氏が収集した現代美術作品を中心に、コレクションの集大成ともいえるジャン・アルプ、カール・アンドレ、ローレンス・ウィナー、トレイシー・エミンら約40作家の作品を展示する。大林剛郎氏は「私的なコレクションの面白さのひとつは、時間の経過とともに内容が変化していくことではないでしょうか。そこにはアーティストを含めた多くの人との出会い、さまざまな機会を通じたアートに関する学びの経験が深く関わっています。つまり、私は自分のコレクションをひとつの美意識や規範に沿って集められたものというよりは、絶えず変化していく動的なものとして捉えています。今回展示する約40点の作品は、850点前後を数える全コレクションの現在形を示すと同時に、その歴史も内包しています。コレクションの『前史』とも言える父の収集品に始まり、本格的に収集を始めた1990年代末以降の作品、そして比較的最近コレクションに加わったものまで、多岐に渡っています。また美術史的には、1990年代以降の作家を中心に、それらに影響を与えた1960~70年代の作家も含む構成になっています。コレクションの多様性は、個人的な出会いや経験がもたらした結果とも言えます。今回の展覧会は、現代美術の表現形態の多様な広がりを示すと同時に、ひとりのコレクターの変遷の記録でもあります。その両面から展示を楽しんで頂ければ幸いです」(会場内、展覧会概要より一部抜粋)としている。

 担当者からのコメントは次の通り。

「今回の展覧会は、大林剛郎氏という一人のコレクターの収集作品群を、3つのテーマに沿って展示します。
「安藤忠雄 描く」は、大林氏のコレクションの出発点でもある、建築家 安藤忠雄氏の平面作品を通して、安藤氏にとっての「描く行為」にはどういった意味や理由があるのかに迫ります。
「都市と私のあいだ」は、9名のアーティストが、それぞれの視点で捉えた都市の写真作品を中心に展示をします。
「Self-History」は、大林氏の現代アートコレクションから約40作家の作品を展示し、コレクションを総覧できる内容となっています。
異なるテーマによる展示内容ですが、展示をすべて見た後には、大林氏の価値観や視点を体感いただけるところが見どころです。
展示を楽しんでいただくことはもちろん、コレクターの視点を通じて、自分にとってのアートとは何だろう?と考える機会となれば幸いです」(WHAT MUSEUM 担当 古後友梨)

 3つのテーマによる展示を観覧できるチケットは一般1200円、大学生・専門学校生700円、中高校生500円で発売中(小学生以下無料)。詳細は同館公式サイトまで。

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