W最年少記録達成の藤井棋聖、今後も結果にこだわらず 強くなることで「違う景色が見られたら」

よろず~ニュース編集部 よろず~ニュース編集部
感想戦では重圧から解き放たれたのか、柔和な笑みを見せた藤井聡太棋聖(代表撮影)
感想戦では重圧から解き放たれたのか、柔和な笑みを見せた藤井聡太棋聖(代表撮影)

 将棋の藤井聡太棋聖(王位との二冠)に渡辺明名人(棋王、王将との三冠)が挑戦する第92期棋聖戦五番勝負第3局が3日、静岡県沼津市の沼津御用邸東附属邸第1学問所で指され、後手の藤井棋聖が100手で勝利。通算成績を3勝0敗とし、18歳11カ月という史上最年少でのタイトル初防衛を達成すると同時に、タイトル通算3期獲得で同じく史上最年少での九段昇段を果たした。

 終局後、藤井棋聖は記者会見を行った。一礼して会場に入ると、「初防衛」と記した色紙を手に記念撮影。カメラマンからの要望を受け、ややぎこちない表情ながら笑みも浮かべた。会見では初防衛についての感想を求められ「今季棋聖戦は渡辺名人の挑戦者に受け入れるという形になって、自分に取って試練と言える5番勝負だと思っていた。その中でなんとか防衛という結果を出せたことはうれしく思っています」と回答。継続中の王位戦、叡王戦については「このあと王位戦と叡王戦とあるので、シリーズを盛り上げられるよう頑張りたいと思います」と前向きに話した。

 九段のイメージを問われると「大変実績のある方ばかり。そこに加わることができたのはうれしく思っています。息長く活躍されている方が多いと思うので、自分もそれにならって活躍できたらなと思います」とコメント。その上で「タイトル数とか具体的な数字は意識していなくて、それより対局の内容を良くしていきたいというのが思っていることです」と、これまでと変わらないスタンスを貫いた。

 具体的な結果を求めない姿勢については「やっぱり結果ばかり求めていると、それが出ないときにモチベーションを維持するのが難しくなってしまうのかなと思っているので、結果よりも内容を重視して、1局指すごとに改善する点は見つかると思うので、それをモチベーションにしていきたいと思います」とキッパリ。さらに「これまで公式戦で200局以上あったと思いますが、完璧に指せたという将棋は1局もないですし、自分が強くなることで、今まで見たことのないような局面にも出会えるかなという風にも思っているので、強くなることで今までと違う景色を見ることができたらなと思っています」と、壮大な夢も口にした。

 対局場近くの熱海市では、大雨による土石流の被害も発生した。その点について問われると「本日大雨で災害があったとのことで、被災された方にお見舞い申し上げます。このような状況で将棋を楽しんでいただくのは難しいところもあるのかなと思うんですが、日常が戻って将棋を楽しんでいただける環境が戻ってくることを願っています」と真剣な表情で語った。

 藤井棋聖は3連勝とし、棋聖位を防衛。これまでのタイトル最年少防衛記録は、屋敷伸之九段が1991年の第57期棋聖戦で記録した19歳7日で、約1カ月の更新となった。また、最年少での九段昇進記録は、渡辺名人が2005年に第18期竜王戦で防衛して竜王通算2期を達成した21歳7カ月だったが、こちらは2年8カ月の大幅更新となった。

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